語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【堤未果】「イスラム国」掃討と膨れあがる米の軍事費 ~いつか来た道~

2015年03月10日 | 社会
 2014年9月に「フォーチュン」誌に掲載された記事「ISIL戦争の勝者はもう存在する。防衛産業だ」によれば、ISILをターゲットにした作戦によって確実に利益をあげる業界は2つ。
  (1)有人・無人航空機の製造および整備業界
  (2)弾薬・ミサイルの製造業界

 米国政府が2014年6月からISIL撲滅作戦に費やした軍事費は6億ドル(720億円)。
 今後この作戦が長引けば、すぐに倍になる。

 記事の中にはレイセオン社、ジェネラル・ダイナミックス社、ロッキード・マーティン社といった軍事関連企業の名が列挙され、バンク・オブ・アメリカのアナリストはインタビューの最後に言い放った。 
 「あちこちで拡大する地域紛争も、投資家にとっては決して悪くない」

 米国政府は、天文学的な財政赤字を抱える。
 大量破壊兵器はイラク戦争の大義名分だった。しかし、その存在の裏付けがないことが明らかになった。それ以後、軍事予算を削減せよ、という国内からあがる要求を無視できなくなった。
 だが、ISILの登場以来、情勢は逆行しつつある。
 ISIL撲滅を掲げる米国は、国連加盟国193か国中132か国に駐留し、1,000か所の基地を持つ軍事大国なのだ。

□堤未果「まさに、いつか来た道--イスラム国掃討と膨れあがる米の軍事費 ~ジャーナリストの目第240回~」(「週刊現代」2015年2月28日号)
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 【参考】
【安保】「人質救出作戦」は「バカ派」の妄想 ~米軍ですら失敗~
【佐藤優】「イスラム国」は今後どうなるか ~イスラム国との「新・戦争論」(2)~
【佐藤優】「イスラム国」は今後どうなるか ~イスラム国との「新・戦争論」(1)~
【佐藤優】ヨルダン政府に仕掛けた情報戦 ~「イスラム国」~
【中東】安倍政権の「大失態」 ~「イスラム国」日本人人質事件~
【中東】【本】『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』
【中東】に敵をつくった安倍政権 ~二つの愚策~
【中東】なぜ「イスラム国」がはびこったのか
【中東】崩壊の抑止というシンポ ~「イスラム国」どこから来たか~
【古賀茂明】日本人を見捨てた安倍首相 ~二つのウソ~
【古賀茂明】盗人猛々しい安倍政権とテレビ局
【佐藤優】「イスラム国」が世界革命に本気で着手した
【佐藤優】「イスラム国」の正体 ~国家の新しいあり方~
【佐藤優】スンニー派とシーア派 ~「イスラム国」で中東が大混乱(4)~
【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~
【佐藤優】米国とイランの接近  ~「イスラム国」で中東が大混乱(2)~
【佐藤優】シリア問題 ~「イスラム国」で中東が大混乱(1)~
【佐藤優】イスラム過激派による自爆テロをどう理解するか ~『邪宗門』~
【佐藤優】世界各地のテロリストが「大規模テロ」に走る理由
【佐藤優】ロシアが中立国へ送った「シグナル」 ~ペーテル・フルトクビスト~
【佐藤優】戦争の時代としての21世紀
【佐藤優】「拷問」を行わない諜報機関はない ~CIA尋問官のリンチ~
【佐藤優】米国の「人種差別」は終わっていない ~白人至上主義~
【佐藤優】【原発】推進を図るロシア ~セルゲイ・キリエンコ~
【佐藤優】【沖縄】辺野古への新基地建設は絶対に不可能だ
【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
【佐藤優】この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~ギオルギ・マルグベラシビリ~
【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~
【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~


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【食】GM食品が高い割合で食卓に ~国際アグリバイオ事業団の報告~

2015年03月10日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)国際アグリバイオ事業団(ISAAA)の最新の報告によれば、2014年における世界での遺伝子組み換え(GM)作物の栽培面積をみると、
   総栽培面積は1億8,150万ヘクタールとなった(前年より630万ヘクタール増加)。
   1,800万の農家が作付けし、その大半が中国(710万)とインド(770万)の小規模農家だ。
   その結果、中国では全綿畑の93%、インドでは全綿畑の95%がGM品種になった。
 世界のGM作物の栽培面積は、全農地(15億~16億ヘクタール)の1割強に達する。うち、米国、アルゼンチン、ブラジルの三大栽培国で1億3,960万ヘクタールを占め、全体の77%。栽培国は限定されていることに変わりはない。
 2014年は、特に米国が300万ヘクタール増、ブラジルが190万ヘクタール増と、2か国での増加が目立つ。逆に、主要栽培国(アルゼンチン、中国、南アフリカ)での栽培面積が減少している。栽培国は28か国。新たに作付けした国はバングラデシュのみ(前年より1か国のみ増)。

 (2)2014年、バングラデシュでBtナスの栽培が行われた。同年、バングラデシュに続き、ベトナムとインドネシアでBtナスが承認された。まもなく栽培が開始されるのではないか、とISAAAは予想している。
 しかし、英国「ガーディアン」紙の記者がバングラデシュでナスを作付けした20中19の農家から聴取したところ、
   9人の農家が病気や干ばつ、本来抵抗力のあるはずの害虫による被害で経済的損失を被った。
 農家は、「失望する結果だった」と言っている。

 (3)ISAAAは、(2)の予想と同時に、米国で新たなジャガイモが承認されたことで、ナスとともに新たな作物が広がる期待を述べている。
 しかし、商業化に向けて難題だらけであることに触れていない。
  (a)このジャガイモは、JRシンプロット社(アイダホ州)がRNN干渉技術を用いて開発した。加熱した際に生じる発癌物質アクリルアミドを低減させたもの。RNN干渉技術は、特定の遺伝子の働きを止める方法だ。この技術を用いた際、食品の安全性に大きな問題が生じることを、オーストラリアの科学者が指摘している。
  (b)JRシンプロット社のジャガイモを一手に購入しているマクドナルド社が、このGMジャガイモ導入に消極的姿勢を示している。

 (4)2014年の報告によれば、米国やブラジルでGM品種の栽培が増え、特に米国はトウモロコシ93%、大豆94%、綿96%と、これ以上の栽培は困難という極限状態にまで達している。その結果、日本の私たちの食卓に登場するGM食品の割合は、70%台から90%台へと高い状態のままだ。

 (5)繰り返し言われることだが、ISAAAの発表は古代であり、その発表自体がプロパガンダとしての色合いが強い・・・・とみられている。
 (1)~(4)の数字や予想にどれだけの裏付けがあるか、示されていない。

□天笠啓介「GM食品が高い割合で食卓に--ISAAAの最新報告を読む」(「週刊金曜日」2015年3月6日号)
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