語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【言葉】アベノミクスの心理学 ~「人間嫌い」の安倍首相~

2015年03月30日 | 批評・思想
雨宮/統一地方選挙が迫りました。投票する際のポイントは何かありますか。

浜/注意すべき用語はあります。「全国津々浦々」「取り戻す」「世界一」ということばを使いたがる人は要注意です。そういう人は「格差」や「貧困」という言葉を使いたがらない。安倍首相の施政方針演説で貧困は1回、格差はゼロでした。安倍首相の語りの中には「人間」が出てこない。施政方針演説や日本再興戦略にも登場してない。唯一あるのが、13年半ばに出た「成長戦略」で言及した、大阪万博の「人間洗濯機」ぐらいです。

雨宮/そうなんですか(笑)。国民という言葉はよく使うのに。

浜/チーム・“アホノミクス”の最大の特徴は、人のために涙する目を持たないことでしょう。逆に人の言うことに傾ける耳を持っているか。人のために涙する目を持っているか。人に対して差し伸べる手を持っているか。それらが問われます。それらのいずれも彼らは持っていません。

□浜矩子×雨宮処凜「怒れる女子会 “アホノミクス”と決別するために」(「週刊金曜日」2015年3月27日号)
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    支那連翹
   


【食】コレステロールの摂取上限がなくなった ~2015年度から~

2015年03月30日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)食事におけるコレステロール摂取は、制限しなくてよい。
 こういう見解が、肥満者の多い米国で示された。
 食事から各栄養素を摂取する目安を決める「食生活ガイドライン諮問委員会」が、2月19日に公表した『2015年度報告書』は、「コレステロールは過剰摂取を心配する栄養素ではない」と明言している。

 (2)米国ほど明示していないが、日本の「食事摂取基準」でも、2015年度版からは、コレステロールの摂取上限目安量は削除された。
 従来、卵などコレステロールの多い食品の摂取と心臓疾患との関連を調べた一部の研究で、リスクが増える結果が出ていた。しかし、その後の大規模な全国調査やシステマティックレビューなどで、関連は認められなかったためだ。
 そもそも人間は、必要なコレステロールの8割を体内(肝臓など)で合成している。食物から摂取するのは2割程度だ。
   食事からの摂取量が増えると、肝臓での合成を減らし、
   食事からの摂取量が減ると、肝臓での合成を増やす。
 こうした仕組みがあるから、健康な人の場合、食事からのコレステロールを制限する必要はない。
 ・・・・これが新しい食事摂取基準のメッセージだ。

 (3)以上からして、「コレステロールフリー」という強調表示が不要になる。
 食用油売り場では、半分以上の商品に「コレステロール・ゼロ」の表示がついている。安い商品ほど大きく「コレステロール・ゼロ」表示されている。
 <例>日清オイリオ「キャノーラ油(1,300g入り)」や「サラダ油(1,300g)」。
 一方、比較的高価なオリーブ油や胡麻油などには表示がない。

 (3)実は、コレステロールは、油脂類の中では動物性脂肪(肉の脂身、ラード、バターなど)に多く含まれているだけで、植物油にはもともと含まれていないのだ。
 栄養成分表示でコレステロールの量が義務表示になっていたら一目でわかることだが、コレステロールが「低い」「ゼロ」と強調したい場合にしか表示されていないので、オリーブ油や胡麻油にはコレステロールが含まれているのだという誤解を招きかねない。
 
 (4)コレステロール・ゼロ表示の基準にも問題がある。
 食用油の場合、コレステロール・ゼロ表示ができるのは、次の①かつ②の場合だけだ。
   ①コレステロール・ゼロの量が5mg未満/100g
   ②脂肪酸中の飽和脂肪酸の含有割合が15%以下
 なぜコレステロール・ゼロ表示に飽和脂肪酸が入ってくるかというと、コレステロールをゼロに減らしても、そのために飽和脂肪酸が増えたらダメという趣旨だ。
 植物油の場合、そもそもコレステロールは100g当たり0~24mgなので条件をクリアする。
 しかし、飽和脂肪酸については、安い菜種油(7.06%)、サフラワー油(7.36%)であればゼロ表示できるが、胡麻油は15.04%なので②の条件をわずかに超える(ゼロ表示できない)。
 しかし、(2)のようにコレステロール摂取上限がなくなった以上、誤解を招く「コレステロール・ゼロ」表示はなくすべきだ。

□植田武智(科学ジャーナリスト)「植物油のコレステロールゼロ表示は合法的優良誤認--なのだけれど」(「週刊金曜日」2015年3月20日号)
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