島原半島博物日誌

島原にある某施設のスタッフが綴る非公認・非公式の個人ブログです。

捕鯨砲(紙芝居風解説)

2014-05-19 13:46:58 | 雑談・その他
昨日の宿題です。
気付いて欲しかった部分は、「穂先が平らになっている。」です。
普通なにかに打ち込む銛ならば、その先端は尖っている筈です。
実際、人力で捕鯨を行っていた頃の銛を見ると、穂先は尖っています。
(すみません、島の館で撮影してきていませんでした。)
ところが、写真を見るとどちらも銛の先が切り取ったように平面になっています。
安全のために切り取ったわけではありません。
その理由を、私のつたない絵で紙芝居風に描いてみました。w

①人力で捕鯨を行っていた頃は図のような銛の打ち込み方でした。
銛の穂先部分が重くなっており、人は斜め上に向かって放っていました。
落ちてくる時の重力加速度を銛に加えて、標的に差し込んでいました。
この時は銛の穂先は尖っていた方が都合が良かったのです。
ただし、一瞬出てくるか出てこないか分からないクジラの背に向けて銛を放つのは、非常に困難なことです。
また、目線と銛の射線が違っているのも難しくしている理由の一つです。

②さて、時代が進んで機械の力が利用できるようになりました。
こうなると、目線と射線が一致するので、非常に狙いやすくなります。
しかも人間の力では出せない強力な威力を発揮しますし、海面に出てきた一瞬を狙って発射できます。

③ところが、これでは銛を上からではなく、横から打ち込まなければなりません。
その時、銛の穂先が尖っていると、クジラの背と平行になってしまい刺さりません。
「バイン」と弾かれてしまうのです。

④そこで穂先の部分を切り落とし、先端を平らにしました。
こうすることで、先端部のどこが当たったとしても角がクジラの背に刺さるわけです。
以上、大学生の頃に教授から教えてもらったトリビアでした。
コメント
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