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教員の働き方改革 改正案 衆院委員会で可決
公立学校の教員の働き方改革を推進するため、夏休み期間中にまとまった休日を取るなど、1年単位で勤務時間を調整する制度を実施できるようにする法律の改正案は、15日の衆議院文部科学委員会で自民・公明両党などの賛成多数で可決されました。
この改正案は、公立学校の教員の働き方改革を推進するため、夏休み期間中にまとまった休日を取るなど、1年単位で勤務時間を調整する「変形労働時間制」を条例によって実施できるようにするなどというものです。
……NHKのニュースより抜粋。わたしはちょうどこの日、えらーい学校事務職員の話を聞いていて、翌朝は中教審の「学校における働き方改革特別部会」委員である妹尾昌俊さんの講演を拝聴。まじめだ。
で、ふたりともこの改正案の、特に変形労働時間制の部分を“心配”していました。教員の健康について、むしろ改悪になるのではないかと。
わたしは逆に笑ってしまいました。だってこの動きは、教員の労働時間が長いことをなんとかしようとするのではなく、勤務時間を長くすることで残業時間を
「減らしたように見せる」
ってだけの話じゃないですか。こ、小手先。
やり方はこうです。
「4、6、10、11月の繁忙期の計13週について、勤務時間を週3時間増やし、その分、夏休み期間中の8月に5日間休むイメージ」(文部科学省)
……これは助かるっ!と思う公立小中学校の教員って存在するんでしょうか。よく考えてみましょう。夏季休業中に休むなら、ただ単に年次有給休暇をとればいいだけ。しかも夏季休暇を真っ正直に夏休み中にとる人がほとんどなので、8月の年休消費は他の月とさほど差はありません。夏季休暇を取りきるのがせいいっぱいなのに、5日間の休みの上乗せにどれだけの効果があるのか。
懸念されるのはむしろ繁忙期のほうで、絶対にやらせないと主張されても、会議が17時より開始されたり、19時まで部活動が行われたりしないと言い切れるでしょうか。
かくて、ただでさえ労働時間に無頓着な教員の退勤時刻は、前よりもどんどんルーズになっていくとわたしは予想します。
そして確実なのは、職員の勤務時間管理について、うんざりするほどの仕事が待っているということなのです。だって実は、そんな話は前にも一度ありましたから。そのあたりの事情は次号で。
画像は「パッチギ!」(2004)
監督:井筒和幸 主演:沢尻エリカ
別に他意があってこの映画を紹介したいわけでは……他意だらけです。薬物がらみで、過去に撮られた作品まで抹殺されてはかなわない。ヒロインがあの美しい顔で
「あなた、朝鮮人になれる?」
と語るセリフは今もなお重い。彼女だけでなく、真木よう子、江口のりこ、桐谷健太を一気にメジャーにした名作。ぜひぜひ。