内田けんじはいま何をやっているんだろう。「鍵泥棒のメソッド」以来、ほとんど名前を聞くこともないのだが。彼は「カメラを止めるな!」を見ただろうか。見て「やられた」と思ったか苦笑したかをぜひとも知りたいところだ。
だってあの作品の肝心な部分とは、まさしく彼のこれまでのやり口そのものじゃないですか。特にこの「アフタースクール」と手口はいっしょです(笑)。両方とも見た人なら納得してもらえるはずだ。
最初に紹介したときはネタバレなしだったんで、今回はちょっと掟破りな特集にします。まだ見ていない人はスルーしてね。
主演の3人は大泉洋(中学教師)、堺雅人(エリートサラリーマン)、佐々木蔵之介(うさんくさい探偵)。10年前だからこのキャストを低予算なのに組むことができた。いま思えばとんでもない豪華キャスト。しかも脇役にムロツヨシ、音尾琢真までいるのですっかりうれしくなる。常盤貴子は本気できれいだし、田畑智子は笑える。
オープニングは中学校の生徒昇降口。美少女がなにかを待っている。そこへやってきたのがいかにも優等生。少女は彼に手紙を渡す……そして彼らがのちの常盤貴子と堺雅人であることが暗示され……このシーンだけでいくつのひっかけが用意してあることか。
そして前半は消えた堺雅人を探す佐々木蔵之介に大泉洋がまきこまれて、な展開に見せて、ある瞬間からそれらすべてが一気にひっくり返されるのだ。ね、「カメラを止めるな!」でしょ(笑)。
タイトルに二重三重の意味をこめていたり、最後にほろりと感動までさせるあたりもいっしょ。だまされて気持ちがいいものだから、口コミで大ヒットにつながるあたりもいっしょだ。まことにけっこうです。
この作品はDVDで見ることをおすすめします。まずは普通に視聴。次は音声特典の内田けんじ&大泉洋のコメンタリー付で。画像をストップしながら見るとなお笑えます。それにしても、コメンタリーでこれほど主役と監督がしゃべり続けるって……(笑)。
あ、わかんないこともあったんだ。大泉洋が佐々木蔵之介のクルマに乗って「このクルマ、理科室みたいな匂いしないか?」ってのはどんな意味だったんだろう。