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事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

どうする家康 第14回「金ヶ崎でどうする!」

2023-04-16 | 大河ドラマ

第13回「家康、都へ行く」はこちら

全力疾走する人間のお話。これはもう、「いだてん」へのオマージュととっていいのではないでしょうか。

全力疾走する女性のお話。これはもう、ジブリをはじめとした日本のアニメーションへのオマージュと(以下同文)。

浅井長政に嫁いだ信長の妹、お市の方(北川景子)は、夫が信長を裏切ることを知って、なんとか兄にそのことを伝えようとする。有名なのは両端を縄でしばった小豆入りのお手玉を送り、朝倉義景と浅井から挟み撃ちにされようとしている警告とするもの。信長はその意をくんで……

しかしこの大河ではそんなまだるっこしいことはしない。お手玉のなかにはちゃんと文を仕込んである。しかし信長に送る手の者はあっさりとお手玉とともに斬られてしまう。

そこで出てきたのが、小さいころから駆けっこが得意な阿月(伊東蒼……「湯を沸かすほどの熱い愛」の、あの子。おとなになったなあ)。彼女は恩あるお市の方のために、苦難の果てにふるさとである金ヶ崎にたどり着き、メッセージを伝えて息絶える。

小谷城から、信長や家康がいる金ケ崎までの距離が約40キロという設定がいい。マラソンが文字通り命がけだったことは、発祥(マラトンからアテネへの伝令……彼も到着後に絶命している)からしても知れる。現在のマラソンランナーも、そんな距離を走っている。

家康(松本潤)のぶち切れ方がちょっと唐突。信長(岡田准一)や秀吉(ムロツヨシ)にあれほどの悪罵を放ってあとはどうするんだろう。秀吉が家康をしんがりに引きずり込むあたりは納得だけど。

第15回「姉川でどうする!」につづく

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どうする家康 第13回 家康、都へ行く ~追悼坂本龍一

2023-04-03 | 大河ドラマ

Ryuichi Sakamoto Trio Sweet Revenge

第12回「氏真」はこちら

今回のタイトルはどう考えてもフランク・キャプラが監督してジェームズ・スチュアートが主演した「スミス、都へ行く」Mr. Smith Goes to Washingtonをいただいてます。

「龍馬伝」のある回が「龍馬の休日」というタイトルで、まるで坂本龍馬が階段でジェラートを食べるのかと笑わせてくれたのに似て。

ミスタースミスは青雲の志を抱いてワシントンに向かうが、家康の場合は愚昧な将軍である足利義昭(古田新太)に京に呼びつけられ、明智光秀(おお、「検察側の罪人」のンパッ!の人)酒向芳から田舎者扱いされるというお話。

意図的にこれまでの大河のキャストをひっくり返している。「麒麟がくる」の滝藤賢一の足利義昭は気の弱さがうかがえて味があったが、古田版義昭をそれはもうひどいひどい。逆に「いだてん」の金栗四三役の中村勘九郎は朴訥そのものだったが、今度の商人役はのちの展開を考えると……

いずれにしろ、都には狐狸の類いが割拠しているのであり、主人公はひたすらに苦労することが暗示される。

お風呂あがりのわたしに、妻が

「ショックをうけないでね」

「どうしたの?」

「坂本龍一が死んだわ」

……闘病していることは知っていたので、驚きはしない。しないけれども、やはり寂しい。

YMOの仕事や「戦場のメリークリスマス」は本当にすばらしかったし、「千のナイフ」などの初期は今聴いても先鋭的だ。でも、あの人の基本線は、けっこうポップな体質だということではなかったか。美しいメロディが、どうしても頭に浮かんでしまうのだろう。ああ、寂しい。

第14回「金ヶ崎でどうする!」につづく

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どうする家康 第12回「氏真」

2023-03-26 | 大河ドラマ

第11回「信玄との密約」はこちら

シンプルなタイトル。いかにこのドラマにおいて今川氏真(溝端淳平)が重要な位置にいたのかがわかる。

露骨なぐらいに、この大河で家康の父親はほとんど描かれない。それは、人質として今川家にいた家康の、本来の意味での父親が今川義元であることを強調したいのだろう。いや今回も野村萬斎がすばらしくて。

「お前に将の才はない」

父親にこんなことを言われたら氏真でなくてもぐれる(死語)。ましてや、弟分である家康の方が自分よりも強いことを知った以上、彼のやることは切磋琢磨しかない。そして、彼はそれを実行する。

コンプレックスのかたまりのような人物を、溝端淳平はみごとに演じている。

愚将として評価が定まっているらしい氏真だけれど、文化人として、そして蹴鞠の達人として名は残っている。障がいをもつ女を北条から押しつけられたと憤る氏真だが、その妻(おお志田未来だ)はクレバーであたたかい人だった……

ある意味、今日は兄弟の物語だったのだ。わたしは事情があってそっち系に弱い。早世した兄のことを、今でも超えられないような気分があるので。だからあざといくらいの展開で、家康が兄としての氏真と和解する展開にはちょっと泣けた。すいません、妻に知られないように本気で泣きました。

氏真と妻を北条に逃がした家康に武田信玄(阿部寛)は激怒。というか、信玄は怒っていると家康に伝えろとするあたり、戦国も情報戦だったんだなあ。とりあえず徳川家はそのためにも服部半蔵(山田孝之)に飯はちゃんとやっとけ。

第13回「家康、都へ行く」につづく

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どうする家康 第11回「信玄との密約」

2023-03-19 | 大河ドラマ

第10回「側室をどうする!」はこちら

国力を次第に上げていく家康。それは家康の功績ではないあたりがこの大河の特徴。なんとなく、そうなっている。
今回のテーマは“お団子”“椿”

男たちにとって、お団子はその勢力図の象徴だ。今川の領地を信長は切り取ってしまえと命じ、信玄は割譲を提案する。家康は強引に食わされる。

女たちにとってのお団子は、家康の妻である瀬名(有村架純)と、幼なじみである田鶴(関水渚……コンフィデンスマンのあの娘だ)の、今川家が安泰だった頃の象徴。

そして椿。他の花がないときに咲き誇るこの花の孤独を田鶴に仮託させる。

うちの奥さんは草月の人なんだけど、椿は

「寂しく活けるのがコツなの」

あーそうですか。寂しい花なんだ。

家康と信玄の邂逅。本当にこうだったはずはないですけど(笑)、そんなことを言ったら「天と地と」の上杉謙信との一騎討ちはありえるはずもないし、斎藤道三がそぉーっと(のちに婿になる)織田信長をのぞき見していたって話もどうもなあ。

信玄を演じている阿部寛がなんともいい。

わたしは彼が「笑っていいとも!」の“いい男さんいらっしゃい”というコーナーに出ていた時から見ているけれど、つかこうへいにしごかれて俳優として開眼した彼が、どうして大河で主演していないか不思議でならない。いろんな事情があったんでしょうけど、山内一豊や西郷隆盛のときは候補に上ったんじゃないのかな。

今回のもうひとつの凄みは、退場する寸前に家康に見せる秀吉(ムロツヨシ)の邪悪な顔。やってるやってる。

第12回「氏真」につづく

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どうする家康 第10回「側室をどうする!」

2023-03-13 | 大河ドラマ

第9回「守るべきもの」はこちら

視聴率が急降下したことで騒がれている大河だけれど、これは仕方ないですよね。裏があのWBCなんですから。

大谷の剛速球、吉田の強打、ヌートバー(この名前は最高だな、なんでだかわからないれども)の好守など、国別対抗であることで、むしろシンプルに野球を楽しめるような気がする。ええそうですとも、わたしは大河の時間帯に野球を見ていました。

というか、いつも6時からBSで見ているのでなんの影響もなし。

さて、今回はよく考えるとすごいお話。

母親がお妾さんをつくりなさいと息子に強要するのだ。そして本妻がその女性を選ぶと。

まあ、お殿様というのは跡取りをつくるのが大事なお仕事だとはいえ、なかなかにシュールな展開。

選ばれたのは侍女のお葉。演じているのは「鎌倉殿の13人」では頼家の妻役だった北香那。つまりは連投です。確かに魅力的。無愛想で笑わない彼女を、なぜ於大の方(松嶋菜々子)と瀬名(有村架純)が支持したか。彼女は他の侍女たちから、とても慕われていたのである。

で、古沢良太脚本はここで一歩踏み込んで、お葉が同性愛者であることをはっきりと告白させる。時代劇で、しかも保守的な視聴者が多い大河ドラマでここまでのことをやるのは勇気がいったはずだ。その勇気があるあたりを三谷幸喜は朝日の連載で激賞していたのだろう。

にしても天下の松本潤に

「殿に触れられるたびに吐きそうに……」

は笑える。

第11回「信玄との密約」につづく

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どうする家康 第9回「守るべきもの」

2023-03-05 | 大河ドラマ

第8回「三河一揆でどうする!」はこちら

はて、この大河の主役はいったい誰なんだろうと思うくらい、本多正信(松山ケンイチ)の回だった。

それは仕方ない。家康(松本潤)を殺そうとした人物が、のちに家康の腹心の部下、というかダークサイド・オブ・家康になる伏線の回だから。

イッセー尾形がいい。この家を守ろうとすれば二つに一つしかない。臣を信ずるか、謀反を疑うものをなで斬りにするか。もちろん家康になで斬りの選択肢があろうはずもなく、彼もそのことは承知している。

ソクーロフの「太陽」において、小心な昭和天皇を演じた膂力は健在。皇后を演じた桃井かおりも出てくれないかしら。

「病で死ぬより、よほど楽そうだで」

と自分の首をはねよと家康に迫るあたり、後半の本多正信と重なる。うまい。みんな家康に殺されたい形になる。

「この、やけに雰囲気がある女優は誰?」

「なに言ってるの。水谷豊の娘でしょ」と妻。

いやどうもそれは趣里のことで、実際は古川琴音という別の女優さんなのでした。いやそれにしても似てるにもほどが……。彼女の家康評がこの大河のアンダーカレントだと思う。

「才は信長に遠く及ばず、しかし自分に才がないことをよく知っている」

彼女を放った武田信玄(阿部寛)でなくてもこの人物を興味深く思うはずだ。

逆に本多正信のセリフは重い。

「妻と子を助けるために戦を起こすような」

ああ、家康の甘さがここで糾弾される。ダークサイドの再登場がここで予言されるわけだ。

第10回「側室をどうする!」につづく

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どうする家康 第8回「三河一揆でどうする!」

2023-02-27 | 大河ドラマ

第7回「わしの家」はこちら

一向宗の信徒による一揆のために、家康は窮地に追いやられる。っていうかこれからのちも彼は窮地の連続なのだが(関ヶ原だって楽勝だったわけではない)。

宗教と政治、という古くて新しい(タイムリーなネタでもある)問題がここにはあるけれども、もうひとつ政治家としての家康に教訓を与えたのは、税金のとり方はとても難しいということだろう。本證寺から年貢を取り立てようと軽く考えていた家康は手ひどいしっぺ返しを食らう。

家康のイメージが暗いのは、例の

「百姓は生かさぬよう、殺さぬよう」

という言葉(本多正信が言ったという説もあるらしい)が、いかにも悪辣に聞こえるからだ。しかし後半部分に注目すれば、百姓から搾り取るのもたいがいにしないと、という意味だったともとれる。

戦闘には素人であるはずの一向宗の宗徒たちは、意外に戦上手でもある。さては有能な軍師がいるのであろうと服部半蔵(山田孝之)に探索を命じるのだが、ここはコント。

「遅い!どこにおった」

「わが家に」

「忍びであるなら常にその辺におって呼ばれたらさっと現れよ!」

あははははは。時代劇の約束ごとを根底からひっくり返すセリフ。さすが、「キサラギ」や「エイプリルフールズ」「コンフィデンスマンJP」で客を手玉にとった古沢良太脚本だけのことはある。

のべつまくなしに身の回りに忍者がいるというのも現実にはしんどいことではあるだろう(笑)。

さて、一向宗側の軍師が、なんと本多正信(松山ケンイチ)だった衝撃。ま、史実だけど、こっからどうひっくり返すかだなあ。松本まりかは相変わらず魅力的。

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どうする家康 第7回「わしの家」

2023-02-19 | 大河ドラマ

第6回「続・瀬名奪回作戦」はこちら

家康が苦しめられた一向宗のお話。為政者にとって宗教がまことに微妙な存在であることは現在もそのとおり。それを利用するにしろ(あれはさすがにひどい)、なで斬りにするにしろ。

信長はなで斬り派の急先鋒だったのだろうけれど、家康にしたってかなり苦労したのはさすがに承知している。一向宗の熱狂に、彼は対峙することになるので。

ぶっちゃけた話をすると、わたしは曹洞宗のお寺の檀徒。禅宗の一派であるここのやり方に疑問を抱いたことはなかった。でも妻と結婚したとき、むこうの宗派が浄土真宗だったことにはとまどった。

え、仏壇にお水をあげないの?

え、お線香を折るの?

そしていちばん驚いたのは、和尚さんがまことに世俗的だったことだ。妻の父の法事の時に若いその和尚とずっと飲んだ(わたしの方が世俗的であることはもちろんですよ)。西と東の本願寺でいろいろとあるらしいけれども、彼はあけすけに語った。

「研修所にはですね、いろんな人がいました。刺青が入っている人とか」

そんな背景が十分にうかがえる今回の展開。民が求めているものを為政者がどう処理するか。これからそんな話になっていくんだろう。

腹心の部下に裏切られる展開は前半の山場だろうな。

あの松嶋菜々子が、姑として有村架純をたしなめる展開に苦笑。ああもう大河とはこんな時代に入ったんだ。

第8回「三河一揆でどうする!」につづく

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どうする家康 第6回「続・瀬名奪回作戦」

2023-02-13 | 大河ドラマ

第5回「瀬名奪回作戦」はこちら

さあミッション・インポッシブル2。M:I-2です。トム・クルーズのあの映画は味が濃すぎてちょっとしんどかったけど。

家康が妻と子どもを奪還するために特命した服部半蔵。へたれな一族しかいないのかと思ったら、とんでもない才能の持ち主、女大鼠(松本まりか)が登場して……

わたしはこの女優のことを意識したことはまったくなかったので(念のために検索しました)いるところにはいるんだなあと。妻は「なんで知らないの」そうなの?

松山ケンイチと山田孝之がタッグを組んだ夢のような作戦。人の情けというものを考えなければ大成功だった。

人の情けというものにほとんど意味の無かった時代であることからこそ意味のある展開だったか。大河の主人公が最初から無慈悲な人間だったらたまんないですよね。まあ、これからの展開は……

さあ、偉大なる父親を継ぐことになる今川氏真(溝端淳平)の狼狽は激しい。どう考えても自分の方が優勢であるにもかかわらず、しかも自分が懸想した(死語)女を返せと言っている人間と取引するときに、頭数を意識してしまう。

人質交換といえば名作(すでに断言)「ブリッジ・オブ・スパイ」。同じような展開。あの映画で、橋の上で語られたあれは泣けたなあ。今回は橋ではなく川でしたが。

99.9 刑事専門弁護士」の劇場版を初めて見ました。松本潤のサディスティックな部分がこれでもかと。どうする家康ではあるけれども、その悪―い部分をどう隠すのかもこれからの柱かも。

弱っちいだけの家康なら、彼をキャスティングするもんか。邪悪そうだからこそ彼は魅力的。

第7回「わしの家」につづく

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どうする家康 第5回「瀬名奪回作戦」

2023-02-05 | 大河ドラマ

Original Mission Impossible intro - 1969

第4回「清須でどうする!」はこちら

タイトルからお分かりのように、今回はミッション・インポッシブルをそのままいただいている。オープニングにブックマッチが出てこないのが不思議なくらいだ。

今川に囚われている妻と子を、家康は取り返したい。しかし頭が筋肉な三河の衆は、なんの策もうかばずにいる。そこで登場したのがあの本多正信。家康が出てくるドラマでは常に策謀を巡らしていたあの人。夜中に家康とグフグフ語り合っているイメージ。

この大河では松山ケンイチが演じています。「平清盛」以来なのかな。低視聴率で語られるあのドラマのことを松山は払拭したいと考えているのかも。

そして登場したのがリリー・フランキー。こちらも低視聴率の記録を更新した「いだてん」以来の登場。かましてるなあNHK。

そしてそして、忍びの頭領として山田孝之が服部半蔵として。これから、彼はこの大河の遊軍として活躍するのだろう。自分は忍者という存在が嫌いであるということと、それでも部下たちを愛しているあたりのあんばいがおみごと。ほとんど主役が松本潤であることを忘れそうになるくらいに山田孝之と松山ケンイチの芝居がいい。

そして、今回なにがすばらしかったかというと、この瀬名奪回作戦が失敗してしまうことですよね。それはなぜか。

次回予告でタイトルが「続・瀬名奪回作戦」と出て爆笑。つまりはミッション・インポッシブル2ってことね。ラロ・シフリンのテーマソングが聞こえてきそう。スパイ映画好きにとって、今日はすばらしかったな。

山下達郎のサンデーソングブックがわたしの誕生日を祝ってくれていた(笑)のといっしょに。

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