社会人大学院の講義を終えて真夜中近くに帰宅した。
郵便受けに、一枚の葉書が届いていた。
葉書の差出人は、高校生のときからの大親友の、ご両親。
まず一行目に書かれている言葉が呑み込めない。
京都の共通の友人に連絡して、親友のご実家の電話番号を訊く。
それが昨夜のこと。
判明しないまま一夜が明け、ハハに電話して卒業アルバムを探してもらう。
事情を説明していたら、じわりと少し感情らしいものが戻って、涙がこみ上げてきた。
しばらくして見つからないけどと電話してきたハハが、葉書に住所が書いていないかと言う。
なるほど。104すれば済む話だった。
それに気づかないほど、感情と思考が停止した。
夜になってようやくご両親と電話がつながった。
信じられないことがリアルなことなのだと、お二人の声が教えてくれた。
受話器を握りしめ、お父様の声を聴きながら、とめどなく涙があふれた。
高校時代、ともに舞台に立ち、ともに大学へ進み、ともに都会へ出て、
刺激し合い、語り合い、笑い合い、ときに励まし合い、讃え合った親友が、
急逝した。
互いに多忙を極め合い、ここ1年ほどどうしても会うことがかなわなかった。
いま、声を大にして彼女の名を叫びたい。
あまりにも密度の濃い人生を、あっというまに全力で駆け抜けた、
世界中に自慢したい大親友の名を。
飯田仁子。 彼女の名を。