先週の『AIDA』に続いて、オペラ鑑賞。
今日はコンサート形式で上演されたマスネの歌劇『Werther』
演奏はフランス国立リヨン歌劇場管弦楽団、
指揮は首席指揮者の大野和士。
久しぶりに顔を出した稽古場でオペラ仲間から「どうだった?」と問われて、
最初に口をついて出た感想は、
――素晴らしかった・・・
それから、
――ものすごく綺麗な音だった・・・
あとは絶句。 どんな言葉で表現してもきっと凡庸になる。
強いて言えば、繊細なときも、ダイナミックなときも、
甘美なときも悲壮なときも、
一貫して、すぐれて透明な澄みわたった音色で紡がれる音楽。
とても厳密に緻密に組み立てられているはずなのに、冷たくない。
感情を揺さぶられるような熱さが音色の奥底に潜んでいた。
両腕をいっぱいに広げて大きく振ったかと思えば、さっと中腰に構え、
緩急も、強弱も、指揮棒の先の微妙な揺らぎひとつで自在に操る。
激しく振っているようでいて、でも、すっとしていて優雅な指揮に、
オケも、ほとんど背中合わせのソリストも、ぴったりついていく。
先週の『AIDA』とは対照的。
これが指揮者のカリスマ性というものか。
第一幕でウェルテルが登場したあたりから、なぜだろうか、号泣。
物語はまだほとんど始まっていないのに。
そのくらい、音楽そのものと音が美しかった。
おまけの感想。
開演前のプレトークでは、自らピアノで主要なモティーフを弾きながら、
熱弁をふるってくれたマエストロ。
「今日はたぶん、ほとんどの皆さんが、この作品の原作となった
ゲーテの『若きウェルテルの悩み』を読んでおられることと思いますが…」
ごめんなさい、読んでません。