ヒイラギ日記 ~Holy Holly's Diary~

小粒でも ぴりりと辛い 博士な日々。

歌劇『Werther』

2009-11-01 23:50:33 | ヒイラギのひとりごと

先週の『AIDA』に続いて、オペラ鑑賞。

今日はコンサート形式で上演されたマスネの歌劇『Werther』
演奏はフランス国立リヨン歌劇場管弦楽団、
指揮は首席指揮者の大野和士。

久しぶりに顔を出した稽古場でオペラ仲間から「どうだった」と問われて、
最初に口をついて出た感想は、

――素晴らしかった・・・

それから、

――ものすごく綺麗な音だった・・・

あとは絶句。 どんな言葉で表現してもきっと凡庸になる。

強いて言えば、繊細なときも、ダイナミックなときも、
甘美なときも悲壮なときも、
一貫して、すぐれて透明な澄みわたった音色で紡がれる音楽。

とても厳密に緻密に組み立てられているはずなのに、冷たくない。
感情を揺さぶられるような熱さが音色の奥底に潜んでいた。

両腕をいっぱいに広げて大きく振ったかと思えば、さっと中腰に構え、
緩急も、強弱も、指揮棒の先の微妙な揺らぎひとつで自在に操る。

激しく振っているようでいて、でも、すっとしていて優雅な指揮に、
オケも、ほとんど背中合わせのソリストも、ぴったりついていく。
先週の『AIDA』とは対照的。
これが指揮者のカリスマ性というものか。

第一幕でウェルテルが登場したあたりから、なぜだろうか、号泣。
物語はまだほとんど始まっていないのに。
そのくらい、音楽そのものと音が美しかった。


おまけの感想。
開演前のプレトークでは、自らピアノで主要なモティーフを弾きながら、
熱弁をふるってくれたマエストロ。

「今日はたぶん、ほとんどの皆さんが、この作品の原作となった
   ゲーテの『若きウェルテルの悩み』を読んでおられることと思いますが…」

ごめんなさい、読んでません。

コメント
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