6~7歳のころ、ほんのしばらくの間だけ暮らした祖父母の家は、
西陣の産地問屋。
祖父から伯父へ、さらに従弟へと代替わりしつつある店の、
玄関ベルを鳴らして中をのぞくと、なつかしい風景はそのまま。
そのまま腰掛けられるくらいの高さの広い上がり框と畳敷きの店先。
冬場には火鉢を囲んで、お客さんと商談する祖父の姿がそこにあった。
見回すと人影は、電話番の女の子と奥から顔を出した伯父ばかり。
絹の匂いのするダンボールの陰で一人かくれんぼ中のヒイラギを見つけては、
ここで遊んじゃダメでしょと追いかけてきた、
ナガタくんや、ハシモトくんや、シミズくん、
当時の社員さんたちの懐かしい顔は見当たらない。
通りをはさんで向かい側には、倉庫だったビルを綺麗に改装して、
従弟が店を構えている。
現代的なインテリアのサロン風の店内に、ネット通販用のパソコン。
縄跳びや‘けんけんぱ’をして遊んだ広いガレージには、
コンクリートが打たれ、洒落た敷石がしつらえられている。
「古くて懐かしい」から「古いなかにも新しさ」へ。
時が流れるということは、こういうことか。
マエストロファンの仲間から、日曜日の区民オペラ練習ルポが届いた。
今回は、雨なのにマエストロではなかったそうな。
(うん、そんな気がしたなぁ。だって、ヒイラギ休みだもん。)
『Carmen』の稽古で連続3ヶ月イケメン先生に会えなかったことを思い出す。
ウラを返せば、マエストロと出席パターンが相当似てたってことで。
稽古に顔出すたびにマエストロで、雨だったな。
区民オペラのほうの合唱指導の先生は、
優柔不断なくせに何気にイヤミな未知の原語「OSA語」を話し、
どこが悪いとも言わずに同じところばかり百万回歌わせたりする。
それでも一生懸命「OSA語」を解釈して伝えようとしてくれてるルポ。
受講生の鑑だ!
マエストロ語なら分かるけど「OSA語」は分かんないしぃ、
うまくできたって絶対褒めてくれないしぃ、
うまくできなかったらネチネチけなされるしぃ、
ヒイラギって褒められて伸びるタイプだしぃ、
けなされると即刻グレるタイプだしぃ、
そもそもその日は東京にいられないしぃ。。。
・・・なーんてことを言ってる不良生徒とは大違い。
持つべきものは、優等生の友。