自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

オオイヌノフグリを訪れたホソヒラタアブ

2013-02-18 | 昆虫と花

空き家になった隣家の空き地で,オオイヌノフグリが花を付けています。地表が剥き出しになって踏み固められているので,生える草は丈夫には育ちません。その環境に耐えるたくましさを備えた草が,適当に生えている程度です。

オオイヌノイフグリは地面すれすれで花を咲かせています。よく見ていけば,結構あるなあという感じです。

つい先日,冬としては穏やかな暖かい一日のこと,「このオオイヌノフグリに昆虫が来ていないか,ちょっとばかり見てみよう」と近づいてみました。見ていってもまったくいません。ところが,そのうちにホソヒラタアブが一匹飛来して花にとまり,蜜か花粉を舐め始めたのです。花の付いた茎は,アブの重みでしなやかに曲がりました。

そっと近づいて,横から写真に収めました。これは今冬,初めてのショットになりました。しばらくすると,別の花に移動しました。今度は,わたしの姿勢がコンクリートの犬走りから見下ろす格好になりました。 コンクリートをカメラの固定台代わりにして上からシャッターチャンスを待ちました(下写真。2.0倍テレコン使用。トリミングなし)。手持ち撮影なので,幾分のブレはしかたありません。 

この後,ホソヒラタアブは家の壁際に生えたホトケノザが気になるようで,しばらくそこにいました。そのとき,わたしの目に入ったのが蛹の抜け殻でした。一つならず,いくつもの殻がトタン板の壁や木柱に付いていたのです。かたまることなく,あちこちに! 「ははーん,これはヒラタアブの蛹ではないかな」。これはわたしの直感でした。これまでにこの空き地ではずいぶんホソヒラタアブを見てきました。蛹の長さはせいぜい1cm程度。蛹の大きさと数とが,何となくこのヒラタアブとつながって見えてきたのです。

 

さっそく家で調べると,直感が当たっていました。偶然の出合いが思いがけない出合いになった瞬間です。

これだけたくさん殻があるのですから,幼虫もたくさんいたことになります。うまくいけば,ここで幼虫から蛹への変化が観察できるかもしれません。羽化も,です。生態を見届けるチャンスです。こんなふうに思うと,これからがたのしみになってきました。

というわけで,この日は,わたしにとって印象に残る撮影日となりました。 

 


わんさか,クモの子たち

2013-02-17 | 生物

日だまりでナナホシテントウを撮っていて,何気なくホトケノザをかき分けて根元を見たときのこと。これまでに見たことのないクモが目に飛び込んできました。それもわっさわっさという感じで,たくさんたくさん。

クモにすれば突然の出来事でびっくりしたでしょうが,『蜘蛛の子を散らす』程の逃げ方,慌てぶりでもありませんでした。それなりに急いで歩き回るというふうでした。

体長1mm。黒っぽいからだに,赤い脚が8本。一言でいえば,ふしぎで異様な姿です。「こんな姿をしたクモがいるのか!」と驚く光景です。ただ,小さいので余程注意深く見ないと気づかない筈。わたしはメガネをかけていたから存在に気づいたものの,かけていないとまったくわからなかったでしょう。 

腹部の先近くを見ると,黒色の中にやや赤みがかった紋様が一つ。

このままの色合いで成体になるとも思われません。そんな成体を見かけたことがありません。さあ,これはなんというクモの幼体なのでしょうか。地面にいるので,そこを棲みかとするクモなのでしょうけど。 

 


冬のナナホシテントウ

2013-02-16 | 昆虫

冬でも,暖かい日だまりをよく観察するとナナホシテントウが動き回っているのを見かけることがあります。我が家近くの空き地にホトケノザが群生しているところがあります。周りは家に囲まれて風が当たりにくく,日差しをしっかり受ける場所です。そこにもテントウムシがいました。目が慣れてきて,数えてみると3匹も!

葉でじっとしているもの,せわしなく動き回るもの,それぞれの姿があります。

そのうちの1匹がコンクリートの犬走りを歩き始めました。「しめた!」。そう思って目で追っていると,急に止まりました。得がたいチャンスです。それで撮ったのが下の写真です。

レンズを通して改めて思ったのですが,その口器の鋭いこと! 顎がしっかり発達しています。まさに肉食性昆虫です。複眼に並んだ個眼も見えます。 触覚も動いていました。日だまりで獲物を探して移動していたのです。

獲物といえば,アブラムシが大好物でしょう。アブラムシが今いるのかどうかはわかりませんが,テントウムシがこうして活動しているというのは獲物が適当に見つかるということです。この日,何種類もの虫を見かけました。アリは結構いました。クモも,ヒシバッタも。まだまだいましたが,名はわかりません。テントウムシがそれらを食べるのかどうか,それは不明です。

そんなことを思いながら改めて上の写真をじっくり見ると,ふしぎなものが写っているのに気づきます。撮っているときは気がつかなかったのですが,写真を見ているうちに脚や口の辺りに赤い小さな粒状のものが付着していることが気になってきました。拡大してみると,間違いなくとくべつな“何か” なのです。もしかすると,食べ物の一部が付いているのかもしれません。しかし,今となっては確認しようがありません。残念。

 


霜柱の朝(続々)

2013-02-15 | 日記

『続』を書いたその後も,寒い朝は霜柱を撮ろうとたのしみにしています。

2月14日(木)。午前8時に霜柱の一部を掘り起こして,撮ったのが下の写真です。露出時間を長めにとり,被写界深度を深くして撮りました。氷柱が林立しています。前日雨が降ったので地面はしっかり湿っているため,短いながらも結構見応えのある風景が広がっていました。 

次に露出時間を短く,被写界深度を浅くして撮りました。ピントを前の方に合わせています。ツララのような,ガラスのような柱が並び立っています。 地面がこれらの柱によって,ぐっと押し上げられているのです。

撮っていると,太陽が昇ってきて,朝のやわらかい光が氷柱に当たりました。あちこちがキラッと光って,光を反射しました。しばらくすると,キラキラとしてきました。 夜空の星を連想させます。その様子を残したくて撮ったのが下の写真です。

やっぱり霜柱の姿っておもしろいですね。思ったとおりです。次は長い霜柱を撮りたいのですが……。

 


イネ科植物の綿毛

2013-02-14 | 生物

庭の植木を見ていると,「こんなところにも綿毛の付いた実が飛んできているんだなあ」と思うときがあります。それも度々なのです。

過日,マンサクの花の写真を撮っているときもそうでした。肉眼でも気が付く大きさですが,このときはたまたまカメラのレンズに飛び込んできてわかったのです。それで,綿毛にピントを合わせて撮ったのが下の写真です。

イネ科植物の綿毛でしょう。道端や土手にはまだススキの類いの穂が残っていますから,そうしたところから風に乗ってやってきたのでしょう。 

ふつう綿毛についてそう細かく見つめることはありません。ふわっと風に飛ばされ,空に舞い上がる風景を目にする程度です。しかし,実一個をじっくり観察すると思いがけない世界が飛び込んできます。

殻に包まれて種子が入っている様子が覗えます。綿毛が付いている場所は片方の先付近です。落下傘の機能を十分に果たすために合理的にしくまれたかたちだとわかります。より軽くして,より遠くに飛ぶためには,綿毛にも知恵が組み込まれているでしょう。数は100本を軽く超す筈。乾燥具合で綿毛の曲がり方・伸び方に変化が現れる筈。加えて,格好の飛行日和を選んで舞い上がる筈。

でこぼこした地面にうまく着地できれば,細長い実はその場でじっと春を待ちます。なかには,水やら風で,何度も移動を余儀なくされる個体もあるでしょう。それでも,適当な温度,適当な水分さえあればなんとか発芽にこぎつけます。一株でつくられる種子は千,万を単位とする数にのぼりますから,そのうちほんの数本さえ大きくなれば子孫を維持するのにもう十分です。

一つ見つかったのだから,もうないかなと思ってすぐ近くの葉に目をやると,葉の下側にくっ付いたものがありました。たぶん同じ植物の綿毛でしょう。思いのほか,飛んで来ているようです。

この日に見た綿毛のきょうだいたちが,このようにして大自然のあちこちに運ばれているのです。それら無数の個体のことを,わたしたちはまったく気にかけることはありませんが,小さな風景から想像を巡らすたのしさを与えてくれるのも接写の世界です。 

 


クロヒラタアブの幼虫の話

2013-02-13 | 昆虫

昆虫を観察したり撮影したりしていると,名がわからない個体がたくさん出てきます。できればわかればいいのですが,昆虫の種の多さから考えると,わからなくって当たり前だという幾分開き直った気持ちも要りそうです。

とはいえ,できればわかることに越したことはありません。だって,名がわかれば生態についての調べが発展していきますから。

そんな気持ちを持ちながら,わからないままにしている種が随分あります。そんな中で,ある日,突如として情報が得られるということもあります。そういうときは,とにかくうれしいものです。その一例がクロヒラタアブの幼虫です。

先日,クロヒラタアブの成虫がマンサクの蜜を舐めにやって来ている場面を写真に収めました。それの越冬態について調べているうちに,幼虫のかたちがわかったのです。それは,昨年11月下旬に我が家のキクの花に付いているのを見かけた幼虫でした。

白い,やや大型の幼虫でした。そのときはまったく正体不明のままで,「マア,いつかわかるだろう」ぐらいの気持ちで,そのままにしていたのです。

からだに花粉がたくさん付いていたので花粉でも食べていたのかもしれませんが,肉食性の幼虫のようで,アブラムシを食べることがわかっているようです。もしかすると,アブラムシがその辺りにいたのかも。

マンサクを介して幼虫と成虫がつながって見えてきました。できれば,蛹もいつか見たいものです。 

 


霜柱の朝(続)

2013-02-12 | 日記

2月13日(火)。午前7時,今朝の最低気温-2.6℃。風のない穏やかな朝でした。寒さが和らいだ感じがしたとおり,霜柱はほとんどできていませんでした。

じつは霜柱の姿に魅せられて,冬はこれを被写体にして写真を撮るのもたのしいのではないかと思い始めました。それで,昨夜,霜柱ができそうな地面にジョウロで水を撒いたのです。

今朝,条件がよければ大きな霜柱を見ることができたのかもしれませんが,気象条件が揃わず期待外れでした。それでも,なんとか5mm程の氷柱ができていました。水を撒いてできた感じが,地表面になった氷の表面に現れています。いかにも,辺りの柱がつらなったといったようにくっ付いています。

近寄って撮影しました。横視野1cmの世界です。氷の表面が見事な程に滑らかに波打ちながら合体している様子がわかります。下の柱はくっ付き合ってはいますが,一本一本が独立している様が伝わってきます。灌水によって地表付近の土が一気に水を含んでしまったために,こんな凍り方をしたのでしょう。

霜柱の見せる多様な姿に,これから目を向けていこうと思います。どうぞご期待ください。そして,ご自分でも足元の霜柱をそっと観察してみてください。「ほほうっ!」と感じ入る風景が目にできるかもしれません。

 


霜柱の朝

2013-02-11 | 日記

2月11日(月)。ぐっと冷え込んだ朝を迎えました。最低気温は早朝の-3.6℃。もちろん,天気は晴れ。

毎日のように,庭には霜柱ができています。しかし,写真に収めたことはなし。「一度撮ってみようか」と思い立って,庭先に立ちました。

霜柱は,地中にある水分が毛細管現象によって次々に上がってきて,連続して氷の柱がかたち作られたものです。地面は下から押し上げられるために,自ずと浮かぶことになります。それを支える氷柱には,当然土や砂の粒が入り込んできます。

当たり前のことですが,土質が細かな粒状質から成り立っていることがポイントで,それによって土壌を構成する粒子間の隙間が極細になるのです。砂場に入れられたような砂粒だけでは自然の毛細管は形成されないため,霜柱はできません。真砂土のような,比較的小さな粒が集まった土なら大丈夫。 

下写真の霜柱は高さが1cm余りのものです。氷柱がじつに行儀よく林立しています。それぞれの先をよくよく見ると,細く尖って見えます。まずは一点が凍ることから氷柱作りが始まったのでしょう。

写真の霜柱を,上の方だけを切りとって写したものが下写真。横方向の視野は1cmで,トリミングなしです。テレコンバーター(2.0倍)を使用。1cmの世界を接写撮影するとき,このテレコンをたいへん重宝にしています。

別のコマをもうひとつ。

透明感のある氷柱が息を合わせて一様に地面を押し上げ伸びていく姿が想像できて,おもしろいなあと感じます。 

 


葉の霜

2013-02-10 | 日記

2月10日(日)。真っ青な空が広がって,気持ちが引き締まる朝でした。放射冷却現象のために,地上は冷え冷えとした様子。最低気温は4.5℃。

草々は霜ですっかり覆われ,辺り一面白さが際立っていました。

「そうだ,霜の写真を撮ってやろう」。そう思って,外に出ました。霜は空気中の水蒸気が冷やされて,地面やらモノやらに触れてできる氷です。真っ白に見えるということは,それだけたくさんできていて,自然光を四方八方に反射していることを物語っています。まあいえば,シュガーを思い浮かべれば,納得できるでしょう。

水田の土,麦の葉,土手の草,畑の野菜,……。そんなものが,霜をまとってすっかり凍り付いています。 

下写真はホトケノザの葉にできた霜です。小さな,角ばった氷が柱状に散在しています。というより,密集している感じです。氷柱が3つか4つ行儀よく並ぶと,やっと1mm。つまり,1つ分の厚みは0.25~0.3mm程度です。 したがって,高さは1,2mmとみていいでしょう。

同じ葉で,別の部分を撮ると……。この中に写っている氷柱の高さはもっと高くなっています。たいへんおもしろいことに,上に行くと枝を広げたように柱が成長しているのがわかります。結晶としての構造を持ちつつ,規則正しい姿を見せています。 

朝は快晴でしたから,日が葉に当たりかけると,氷柱がじわっと解けかけました。どんどん温度が上がって,マイナスからプラスに転じているのです。その境,つまり融点が感じとれる瞬間はそれこそ見事な光景です。 

 


雪の結晶

2013-02-09 | 日記

2月9日(土)。早朝,雪がちらつく天気。

雪の結晶が撮りたくて,庭に出ました。まず,スギの葉にのっかかった結晶から。ふわっと綿のような,比較的大きめのものをねらいました。規則正しい模様が,幾何学的に広がっているのがよくわかります。こういうのを見ていると,是非単体で撮りたくなります。どれほど見事な世界が見えるだろうかと,想像するだけでもゆかいになってきます。

水を張った桶の水面は氷。その上に,次から次へと結晶が舞い降りてきました。きれいな結晶は完全な六角形を連想させてくれます。

木と木の間にクモの糸がありました。そこに結晶が付いて,風に揺れていました。小さな,動く被写体をシャープに撮るのはむずかしいものです。糸に単体の結晶が付いているのをなんとかりたくて探したのですが,見当たりませんでした。クモの糸がまずほとんどない季節ですから。

マンサクの花弁にも結晶が付いていました。写真の結晶は,槍のような,氷のような,棘のような,鋭い格好をしています。小さな結晶が積み重なった姿に見えます。それが花弁に突き刺さったような風景です。まるで構造物!

目を凝らすと,自然の妙はあちこちにあります。