自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ホシノヒトミの葯と柱頭

2019-03-13 | 

植物の生殖において,近親交配は基本的に避けられます。雌雄が一つの花にある場合,たとえばオシベ先熟とか,メシベ先熟とかで直接交配が行われないなどはその例です。

しかし,種子ができなくては元も子もないわけで,受粉の機会がないとき,植物は非常事態を宣言します。止むを得ず近親交配の道を選ばざるを得なくなるのです。

今の季節なら,ホシノヒトミが好例でしょう。本来なら昆虫が送粉してくれるのに,昆虫の数が極めて少ないために,どうしてもそれに頼ることができません。ちゃっかりとそれぞれの花の中で受粉を完結してしまいます。背に腹は代えられないというわけです。ホシノヒトミは一日花。一日だけ咲いて散るのが大方。

 

受粉ができなかったら,夕方花が萎む際,花粉であふれた葯が柱頭に触れる仕掛けになっています。さらに,そのときを待たずに早々と接触する蕊もあります。昼間,花をルーペで観察すると,もう受粉が終わっている例がかなりあることに驚きます。それらすべてが昆虫の仲立ちによるとは考えられない程の数なのです。

さらにさらに,ふしぎなのは朝花が開くときに,もう花粉が付いている例もあります。ということは,蕾の中でもう葯が開いていることになります。

 

 

この柱頭にも花粉がわずかに。 

 

葯と柱頭の花粉を見比べると,かたちが違っています。葯の方のものはやや長細く,柱頭の方は丸く見えます。

 

うんと近づいて確かめてみましょう。確かにまん丸。これは柱頭に付いた時点で水分を吸い,膨らんだことによります。

 

こうしてか分から花粉管が伸び出します。受精への第一歩が始まったのです。 自家受粉であれ,他家受粉であれ,こうしてホシノヒトミは着々と子孫を残す手筈を整えているのです。

 


”虫の目”でとらえたアマナ(続)

2019-03-13 | 植物

3月12日(火)。前回に記事にしたのとは別のアマナ群落。ちらほら,花が咲き出しました。懐かしい花です。

 

この天気では太陽光はほんのときどきにしか射しません。わずかに太陽の姿が見えたときに,慌てて撮りました。

 

なかなか上品な花に見えます。これから花が増えます。たのしみです。