わたしの勤務するミュージアムに,青少年関係のグループの皆さんが来られました。グループは小・中・高校生と指導者で構成されていました。以前指導者の方が下見に来られたとき,たまたま火起こし体験をしていただいたのが印象に残っていたらしく,今回,ぜひ火起こしをしたいとの話。
小さなミュージアムのよさは臨機応変に来館者の要望に応えていける柔軟な運営ができる点。つまり,小回りが利くっていうことです。来館者の期待・満足度にすこしでもお役に立てたらという思いで,やりくりして対応に努めています。このグループについても,急きょそのようにさせていただきました。
わたしがお薦めしたい最高の発火法は断然キリモミ式です。複数の人で試み,成功したら,達成感がたっぷり味わえます。汗を流し合えたなあという思いをずっしりと感じとることができます。
さて,1回目。4人で挑戦。煙がやっと出ましたが,火種ができるまでには至りませんでした。
2回目。メンバーが一部入れ替わりました。気合いを入れて,再び挑戦。あとすこしで発火というところまでいきましたが,火切り板が動いたために粉が散り惜しくも失敗。8分粘りましたが,ダメ。問題は簡単です。回転力はあっても,下向きに加える力が弱いのです。これだと摩擦が弱くなります。
「まだやる!」ということなので,3回目に挑戦。メンバーが一人交代。かなり慣れてきたので,うまくいきそう。「50m走を走る感じで」「むちゃくちゃにいけ!」などと励ましますが,あとわずかというところでなかなかうまくいきません。「縄文おじさん,手伝って!」と応援を求められ,わたしも参加。結果,発火!
わたしが手伝ったものの,皆さん,炎を見つめながら充実感をじゅうぶんに味わっていらっしゃる様子でした。よかったー!
火を起こすこと自体に対する驚き,最後までやり抜くスゴサ,力を合わせてやり遂げる値打ちを,当事者のみならず周りの皆さんもお感じになったようです。ミュージアムスタッフとして,よき機会を設けられたことをうれしく思います。