ミュージアムの魅力の一つに,そのミュージアムに行けば“そこならでは”のグッズが入手できるという点があります。いわゆる,オリジナルグッズというものです。ミュージアムに入館しなくても,ミュージアムショップにグッズを買いに行くことができるというシステムもまた考慮されなくてはなりません。実際,わたしもそんなふうにして利用した経験が何度かあります。そこまでして行きたいと思うのは,そこに置かれているグッズがわたしを引き付ける魅力を秘めているからなのです。
あちこちのミュージアムは,そんなグッズの開発にあれこれ知恵を絞っているはずですが,なかなかあれこれの知恵が出て来ないようです。どうやら,ミュージアムが抱えている最大の課題はそこに費やす時間がなく,スタッフが足りない,という理由らしいです。もちろん,経費の問題もありますが,それ以上にものをつくり出すゆとりがないのです。時間的にも人的にもゆとりがなければ,創造していくたのしみは萎んでいくだけです。
とくに,わたしたちのような地方の小さなミュージアムだと,一層その傾向が顕著だと思われます。そんな中,すこしでもなんとかしなくちゃと思う気持ちまで衰えていくのは悲しいこと。
だったら,すこしだけでもなんとか手を打ってみようというわけで,わたしたちの場合,少数スタッフで時間をひねり出して,今春からこつこつ一つのグッズ開発を試みました。原案(基本デザイン)がわたし,細かな調整作業がミュージアムスタッフです。そうして,今日(!),新グッズの発売にこぎつけたのです。名は,本市名(〇〇〇〇)を冠した『〇〇〇〇地球風船』。
正方形の展開図を,風船をつくる要領で折っていくと,アラアラ,立方体の地球が! 昔,富山の置き薬屋さんが風船を膨らませて置いていかれた,あれそっくりのかたちです。陸には本市と関係ある世界3都市,国内1都市を赤点で表示しています。裏面は便せんになっています。色は6種類のものを準備しました。
このグッズに込める願いは次の2つです。
- 地球と宇宙のワンダーを伝えることをしごとにしているミュージアムとして,来館者及び市民に本館に一層親しみを感じていただきたい。地球儀に視点を当てて安価にしてインパクトのあるオリジナルグッズである。手のひらに乗せられ,ぽんぽんとお手玉風につく地球となっており,わたしたちの星“地球”をもっと身近に感じてほしい。
- 市民感覚の目線に立ちながら,ミュージアムとして,今回のオリジナルグッズでまちを広くPRする取組に役立ちたい。
たくさんの方に愛着を持っていただこうと,8枚一組(大サイズ2枚,小サイズ6枚)で販売します。価格は,スタッフの意見を考慮して極端に抑えました。クオリティ度を考えると,わたし自身はもうすこし高くってもよいのではという思いがあります。
今回のものは5年,あるいは10年に1つ出せるかどうかという,小さくてビッグな公式グッズだと自負しています。