自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

虫の目レンズを手に野へ(4)

2013-08-20 | 随想

お気に入りの草むらはとてもおもしろいところです。

イネ科植物に混ざって,その根元にはスミレがたくさん生えています。至る所にあります。それで,それを食草にするツマグロヒョウモンが産卵に訪れていました。わたしが見たときは二頭いました。

至近距離に近づいても,ちっとも慌てません。 

あとを追っていくと,産卵行動が始まりました。時間をかけて複数個を産み付けました。飛び立ってすこし離れた地面に降りました。もちろんそこにもイネ科植物があって,それに隠れるようにしてスミレが生えています。何を目印に食草が見つかるのか,ふしぎな感じさえしました。

暑い暑い夏の,草むらの片隅。そこで繰り広げられるいのちのドラマを虫の目レンズで記録するのは「おもしろい」の一言に尽きます。なにしろこのレンズなら昆虫をからだごと,環境もごっそり入れて切り取ることができますから。

 


ジャコウアゲハ観察記(その258)

2013-08-20 | ジャコウアゲハ

先日,ヨッさんがジャコウアゲハの蛹を3個体,枝に付いたまま植木鉢に挿して持って来られました。置いていると羽化の場面を見たくなって,しごとが手に付かなくなるので,わたしに任せるというのです。わたしも前ほどに見たいという気持ちはないので,そのまま預かることにしました。見られれば見てもいい,という感じです。

そのとき,ヨッさんは思いがけないことをおっしゃったのです。

「ジャコウアゲハは,めったにないかもしれないけど,共食いすることがあるんやなあ。この間,幼虫が蛹を食べたんや。ほんまにびっくりしましたで。」と。餌がなくなったときに幼虫同士が共食いするということは観察者の手記で知っていましたが,見たことはありません。ヨッさんの話のように,幼虫が蛹を食するなんてことは初めて聞きました。個体維持できる分だけ食草があるというのはとてもたいせつなことだとわかります。

今日(8月20日),露地植えのウマノスズクサを見ると,わずかな草に幼虫がずいぶん集まった箇所がありました(下写真)。こんな状態が高じて,共食いが起こりうるのだろうなあと感じました。

 

結局,ヨッさんが置いて行かれた3個体はそれぞれ無事に羽化して,舞い上がって行きました。