自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

金沢,すてきな風景

2013-08-18 | 旅行

金沢の街をたのしんできました。何度訪れても,魅力に溢れた街という印象が薄まることはありません。今回でまた印象が深まりました。旅をどうせたのしむなら,このように快適で上等な味をこころに残してくれるひとときがあってほしいと願っています。心地よさを満たしてくれる何がしかの印象が残るのは幸せなことです。

印象はほんの一つだけでも,旅は十分満足できます。それが複数あれば,もう勿体ない限り。今回の印象は勿体ない程ありました。そのうち,三つに限って記しておきます。

その1。忍者寺として名の知られた妙立寺でのこと。わたしはこれで三度目の拝観になります。観光客がもうたくさんで,わたしは事前予約を入れておいたもののその時間帯はたぶん100名近い客でごった返していたと思います。

多過ぎるので実際の案内はグループ分けがなされ,わたしはそのうちの第3グループ(16人)になりました。これがとても幸いしたのです。ガイドさんとの極上の出会いができたのでした。手馴れた,簡潔明瞭な解説,段差が多いので安全を気遣うしぐさ,すべてがスパッと決まっていて,話の続きに引き込まれる感じだったのです。さすがにプロ,です。手馴れた説明を聞かせるなんて見え透いたこころなど微塵も感じさせない腕に,拍手!です。

40分程の案内があっという間に終わった感じがしました。締めくくりのことばが終わると,わたし(家族)は思わず拍手をしました。それもとくべつ大きな音で。そして「ありがとうございました。すてきな案内で感謝します」と言っていました。ガイドのKさん,「拍手までいただき,ありがとうございます」とおっしゃいましたが,わたしは「充実したひとときが過ごせて,ほんとうにありがとうございました」とまた言っていました。

その2。宗教学者鈴木大拙の業績を後世に伝えるためにつくられた記念館は,街の片隅にある清楚で,じつに個性的な建築物です。大拙の功績をこれでもか,これでもか,という感じで訪問者に語りかける,そんな体裁のものとはまったく正反対。最小の資料で,そこを訪れるだけで,そこに佇んでいるだけで,大拙の世界が気になり始める,大拙の思想が語りかけてくるのではないかという幻想にとらわれ始める,そんなスゴイ空間です。設計に深い思想が流れているのです。

訪れる人は少数ながら,絶えませんでした。静寂な空間に身を置き,静かに静かに大拙と向き合おうとしているかのようでした。わたしのような凡人まで,喧騒から解き放たれ,世俗から離れて,自分を見つめるすてきなひとときが持てるように思われました。

その3。街中の,すぐ路地裏の疎水は人と水のつながりの大切さを語りかけているように見えました。水量といい,水質といい,水路の描く曲線といい,はたまた勢いよく流れる水が醸し出す音といい,生活に潤いなり安らぎなりを与えているのは確実です。

疎水を生活にうまく取り込んで,景観をこの街ならではのものとして整えてきた人々の汗を頼もしくさえ思ったのです。

自然を生活に生かす智恵,そうした思想を根付かせた自負が垣間見える思いがしました。

こんなわけで,次の金沢行きをたのしみにしています。

  


虫の目レンズを手に野へ(2)

2013-08-18 | 随想

シオカラトンボが飛んできて,イネ科植物の葉にとまりました。

翅と全身,それに背景の青空をしっかり入れようと思い,カメラを縦にして撮りました。上空に伸びた葉が,緩やかにきれいなカーブを描いています。虫の目レンズがそれを強調する効果を発揮しているのです。 

使用レンズは下写真のものです。焦点距離を長くするために筒が長くなっていて,先に魚眼レンズが付いています。先だけを他のレンズと交換できるようになっています。被写体に1cm程度まで近寄れますが,あまり近づくとレンズに被写体が触れるために細心の注意が必要になります。

それで,ファインダーを覗きながら近づくのは禁物です。予め被写体とレンズとの距離を肉眼で確認してからピントを微調整し,シャッターを切るわけです。 一枚目の写真だと,翅の手前端はレンズすれすれまで来ている程ですから。

昆虫を強調気味に配して構図が決まれば納得,です。