虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

小田実「毛沢東」

2007-12-01 | 読書
小田実の「毛沢東」(岩波書店)を図書館で借りた。そういえばあったな。でも、読んでないな、と思った。もちろん、閉架書庫に眠っていて、ひっぱりだしてもらった。
20世紀思想家文庫の1冊だが、小田実の本の中でも最も売れなかった本のひとつではなかろうか。

出版は1984年。毛沢東、周恩来はすでに死に、文革の功罪が語られ、小平の開放政策がすすめられている時代だ。毛沢東や革命などには人々の関心が向かなかった時代。

小田実は一面、国際大ジャーナリストでもあると思っているので、中国に半年滞在して書いた本には、随所に有能なジャーナリストとしての小田の見聞がある。しかし、それでも、むずかしい。なんといっても毛沢東。しかも、新中国成立後の文革までの毛沢東が中心だ。

わたしは、文革はおろか、毛沢東も知らない。毛沢東伝の基本的なあらすじを知っておかないと、ちょっとこれは読みにくい。わたしは、まだ孫文が活動しはじめたころの中国しかかじれていない。小田実の毛沢東を判断する知識がこちらにない。

中国革命で、小田実だから借りたのだけど、まだ孫文あたりが清朝を倒すために奔走しているあたりの歴史をさまよっている。毛沢東はまだまだ先のことだと思っている。一通り、中国革命の全体をつかんだら、また再読しようかなと思う。

しかし、この本のようにある時代にその土地を訪れて考えて書いたジャーナリスチックな(一部だけで、小田一流の思索を書いているのだけど)本は、鮮度が古くなるので、再販されることないかもしれない。小田の本はこのような運命の本も多い。

小田実はあとがきで書いている。毛沢東ははやりを過ぎた。近くの大きな本屋に行っても、毛沢東も「中国革命」の本は影もかたちもなかった、と。これが20年前の話だ。

今、独裁者毛沢東を暴露する、という本はあるものの、「中国革命」の本などやはりどこにもない。しかし、中国革命は、他国はいざ知らず、近代日本を理解するには避けて通れないと思うのに。








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