虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

義兄弟 中国

2007-11-10 | 日記
中国の詩には、大昔から、友人について歌った詩が多い。友人を家族よりも大切に思っているようなところもある。司馬遼太郎だったか、日本では、幕末まで友情とかの概念は成立してなかったのでないか、と書いていたような気もする。

論語に、朋友に信、との言葉はあるものの、武士ならやはり主君に忠、農民なら家族、血縁、地縁が大事なのかもしれない。義兄弟を結んだ、というのはあまり聞かない。(やくざ世界では義兄弟はあったけど)。

ところが、中国では、戦前まで(太平洋戦争)、民衆の間では、義兄弟による仲間集団がたくさんあったようだ。なにせ三国志の始まりが劉備、関羽、張飛の桃園の義兄弟の誓いだ。水滸伝でも、好漢、好漢を知る、ということで、すぐ義兄弟になる場面がある。「生まれた日は違っても、死ぬ日は同じ」という同志の誓いだ。

近代中国は、この三国志や水滸伝の群像たちがそのまま生きていたようで驚く。
とくに有名なのは、天地会という秘密結社。これは「反清復明」のスローガンをもつ反体制団体(アウトロー団体)で、太平天国軍にも、辛亥革命にも大いに活躍する。清が倒れてからは、紅幇(ホンバン)、青幇(チンバン)という裏社会の組織が生まれる。幇とは、相互扶助を意味するそうだ。この組織が中国の内乱に大きく関わる。あの中国共産党もこの義兄弟の誓いをする秘密組織の力を借りなければならなかった。

家族と離れ、土地を追い出された流民たち、政府も何もあてにできない以上、自分を守るには、信頼できる同志だけが頼りだ。

今の中国にもこうした伝統はきっとひそんでいるにちがいない。

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