虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

反対を表明しない知識人 特定秘密保護法案

2013-11-19 | 新聞・テレビから
朝日の夕刊。「時事小言」というコラム、藤原帰一という政治学者が書くもので、月に1度掲載されるそうだが、今日は、「特定秘密保護法案」について。

かなりの字数を費やしているが、筆者は、特定秘密保護法案について、はっきりと反対を表明しない。ただ、特定秘密保護法案は、外国の政府、または国際機関に特定秘密を提供できる定めがあり、かつて、NSAが光ファイバーを経由する電子メールの傍受に協力するよう日本政府に打診してきた、という報道もあり、特定秘密保護法案は、そのようなデータ収集の一環となるのではないか、という問題点を指摘するだけ。そして、筆者はこう書くのを忘れない。

「私も、国防をはじめとする特定の領域について政府が秘匿することは、許されるばかりか必要な行動であると考える」また、「現在の日本政府は情勢収集と機密保護の両面においてまだまだ不十分であり、制度づくりが必要なのは事実である」と。

結局、筆者は、秘密保護法案について何をいいたいのかわからない。基本的に賛成だが、危惧がある、といいたいのか。自分の意志を明確にしたくないのだろう。

この人と似たような有識者(たくさんいるけど)、一人、思い出した。
姜尚中。
東大の学者で、昔はテレビの「朝まで生テレビ」にも出て、いろいろ本もだしている政治学者。若い人にもけっこう人気がありそうだが、この人が数年前、NHKの討論番組に出たことがある。日米同盟についてだったか、記憶はあいまいなのだが、賛成か反対かの札を表示する時があった。この人だけ、まわりをきょろきょろ見ながら、どちらもあげなかった。意志を表明しなかった。やっぱり、こういう人なのだ、とその時から、個人的にこの人を見限った。

政治的な問題に自分の意志は表明しない。ただ、気の利いた批判的な言葉は並べる。これが、知識人が現在のマスコミで生きのびる最善の方法なのだろう。

むろん、藤原帰一もとっくの昔に見限っている。