虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

ウィキリークスのアサンジュ氏逮捕

2010-12-08 | 新聞・テレビから
新しいジャーナリストの行動だと思っていたウィキーリークスのアサンジュ氏が逮捕された。以前から「巨大権力に狙われている」といっていたが、巨大権力は彼の身を早くも拘束してしまった。

容疑は、「強姦」だという。でっちあげだとわかりきっている。権力に立ち向かい、庶民のヒーローになるかもしれない人物を抹殺するために、権力が使う常套手段だ。

日本でも、大塩平八郎について、幕府は、大塩は、自分の養子格之助の嫁さんと密通したというでっちあげを罪状に書き上げた。有力な指導者を地べたにたたき落とすのに、「性的犯罪者」という言葉は有効で、他にも例は少なくない。

また、アメリカはアサンジュ氏を「無政府主義者」と呼んでいた。アメリカでは(おそらく日本でも)「無政府主義者」(あるいは、共産主義者)というレッテルをはることは、市民としての資格がないと言うに等しい。(ちなみに、トルストイも無政府主義者ということで、教会から破門されたが、いまだに破門は解かれてなく、今のロシア国家も、異端児扱いのようだ)。

市民の、個人の情報を暴露するならともかく、国家の、公的立場の情報を国民に知らせるのは、ジャーナリストの使命だ。日本でも明治期の新聞記者は何度も投獄され、「まむし」として恐れられ、政府は、新聞の言論活動を弾圧することに腐心したものだ。権力者に恐れられ、迷惑がられるのは、ジャーナリストの名誉だ。

今はどうだ。いつのまにか、新聞をはじめメデイアは国民を良導し、政府と同じ「国益」「公益」を守る立場に立つ。記者も出世したものだ(明治の唾棄された記者と比べて)。朝日などの大新聞社は、アメリカの代理人のような人物が主筆になっている。

暴露されると、「外交交渉ができなくなる」と元外交官が話していたが、国民の知らない所で、どんな外交をしてきたというのだろう。そんな秘密外交はもう100年も前のものだろう。

メデイアでは、各国首脳の悪口を暴露された、とかどうでもいい情報を公開していたが、何万点もある情報の中には国民にとって、大事な情報があるはずだ。せっかく、公開されたのだから、ジャーナリストなら食いついて国民に知らせるべきだろう。

「報道の自由」か「機密保持か」という選択ではなく、ジャーナリストは、国民の立場に立つか、国家、為政者の立場に立つか、という問題だ。

ウイキリークスをつぶしてはいけない。