虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

裸の王様とトルストイ

2008-10-27 | 読書
トルストイはアンデルセンが好きだったらしい。中でも、「はだかの王様」。
世界最高の服だとだまされて、はだかのままの王様。まわりの人たちも、同じようにすばらしい服だといい、だれも真実をいわない。子供だけが「王様ははだかだ」と真実を言う話だったか。グリムはよく読んだけども、アンデルセンはほんとうには読んだことがない。たしか、こんな話だと思っている。

トルストイはこのお話の子供のように、だれもが言わないことを言ってきた人だ。
教会について、裁判所について、おかしいことはおかしい、といい、教会から破門され、書くものは発禁処分にあう。専門家は専門家で、かれは文学者だから、と黙殺するか冷笑する。

たしかに、わたしたちも、「はだかの王様」に出てくる王様の家来たちと同じだ。
王様ははだかなのに、真実をいわない。自分の目よりもまわりの目を大事にするためか、権力者に同調するためか。

憲法がそうだ。戦争はいけない。軍隊は持たない、使わない、と誓っている。それなのに、軍隊を持ち、それを使用している。子供だったら、おかしい、と思うはずだ。憲法にかぎらず、真実から目をそむけさせようとする言論ばかりのようだ。
この金融危機を契機にして、王様の家来であるマスコミはまたどのように言論を誘導していくか、見ものではある。