らんかみち

童話から老話まで

お二人の命の対価

2015年02月02日 | 暮らしの落とし穴
 予測できたこととはいえ後藤健二さんまでが殺害されると、ISに激しい怒りを感じるとともに、日本政府の対応はどうだったのかと思う。もっと重要な人物が人質に取られたとしたら対応は違っていたんだろう。

 お二人の冥福を祈っているけど、人の命の格付けは、当然ながら、残念ながら存在する。ましてや自ら危険地域に踏み込んで「全ての責任は自分にある」と言い残した人の対価を、政府はいかほどに見積もったか。

 遺体の捜索するらしいけど、その過程で更なる人質が生まれたらどうするんだろう。それが日本人でなくても、どこの国民であっても後藤さんの望むことではないはず。何が何でも遺体を回収して葬式をしたい気持ちは日本人なら理解できるんだけど……。

 エベレストの山頂付近には100体以上もの遺体が放置されたままになっていることは良く知られている。標高8000メートルを超えるような、生きているだけで精一杯の場所から遺体を回収するのは現実的ではないという。後藤さんと湯川さんの遺体を放置するなんて忍びがたいことではあるけど、回収するのは危険すぎる。

 エベレストに放置された遺体は登山家たちの目印として機能しているらしい。お二人の遺体がそうなってほしいというのではない。テロリストに対応する政府や国民の精神的一里塚たれかし、と願っている。