らんかみち

童話から老話まで

友を偲んで、なみだ酒

2014年01月14日 | 暮らしの落とし穴
 叔母と叔父を相次いで亡くしておきながら明けましておめでとうもないもんだけど、賀状を受け取る側にしてみたら自分の家はお目出度いんだからね。母の分はさすがに出さなかったけど、ぼくの分の年賀状は出した。

 で、母の分の寒中見舞いを印刷しようと始めたら、プリンターのインクが切れてしまった。最寄りのホームセンターに行ったけど、ない、無い! 1年ほど前に買ったことがあるはずだが、売り場も縮小されていて品揃えが少なくなっている。

 文芸公募なんかに出していると、締め切りギリギリまで推敲して、さあプリントアウトして郵便局に走るぞ、という悪あがきをする。ところがプリントを始めたら「インクが少なくなりました」なんてことがある、というよりインクってそういうときに限って切れてしまうもののようだ。

 都会に住んでいたら直ぐにインクを買いに行けばいい。しかしプリンターそのものが動かなくなるってことも、公募に限って起きやすい。だからプリンターもパソコンも常に2台は用意しておかねばならないとしたもんだ。

 分かっちゃいるんだけど、平和な時間が長いとパソコンもプリンターも1台に頼ってしまって、いざってときに困ることになる。今回も昔のプリンターを復活させて昔のパソコンから印刷という羽目になった。
 そんな風に我が身の愚かさを嘆いていたところ、1枚の寒中見舞いが届いた。なんと! ぼくの友人が亡くなったので、年始の挨拶ができなかったという知らせだった。

 障がいは元々あった男だけど、6年ほど前に脳梗塞を患って右半身不随に。田舎に帰ってリハビリを始めた頃と、その1年後にも彼を見舞ったけど、とても厳しい状況だった。
「ぼくなんかマシな方で、回りはもっと悪い人ばかりだ」と、リハビリ病院の有り様を語っていたけど、まさか焼死するとは思わなかった。
 
 遺族に何があったのか問うわけにもいかないのでネットを検索してみたところ、自宅が全焼して焼け跡から彼が発見されたらしい。家はバリアフリーにしていたけど、あの体では火を発見しても逃げ出すのに手間取ったろうな。
 そんな家にぼくは年賀状を出したんだ! 何もかも焼けて喪中葉書どころじゃなかったろうな。知らなかったとはいえ、なんとも心苦しい。今宵は彼を偲んで、なみだ酒・・・…。