らんかみち

童話から老話まで

老害同士の戦いに勝利者はいない

2014年01月09日 | 暮らしの落とし穴
 ぼくの鎖骨っちゃんはまだ電動ろくろを使えるほどには回復していないんだけど、年末年始くらいは陶芸クラブに顔を出さないと義理もへったくれもあったもんじゃない。
 一人また一人とメンバーが引退していくことに危機感をつのらせる人は誰もおらず、仕方ないからぼくが新人を勧誘して最終的に6人増となった。

 しかし、老人クラブ状態で安定していたところに新人という不安定要素が一気に増殖したため、殴り合いの喧嘩にまで発展するかと思うほどの確執も生んでしまった。でもやったらいい、もっと喧嘩しろ、産みの苦しみってやつだ。クラブを年寄りの道連れにするわけにはいかんからね。

 クラブの重鎮であらせられる要釉斎先生は老いたとはいえ御健勝で、「君ぃ、鎖骨を折ったくらいで陶芸を放棄するとは、どういう了見かね」と詰めよってくる。面倒なので中座しようとしたところ、「こら、聞かんか!」と叱られた。卒寿を超えた先生ではあるけど、さすがに元教育者、こういったタイミングは逃さない。

 陶芸の知識や審美眼については先生に一目置いているけど、技術面で指導を請うことは、もうほとんど無い。まあ今は敬意を払いつつお守りをしている感覚なんだけど、先生が老害となって立ちはだかっている感は否めない。
 欲ボケっていうのじゃないけど、わずかなお金のことでもめてしまう。これまでの確執が解決できていないんだね。つまり、もう一人老害の張本人がいるってこと。まあ互いに疲弊するまでやればいい。傘寿と卒寿の戦いに勝利者がいるというのなら。