らんかみち

童話から老話まで

秋の夜長、イチジクの生ハム巻きはどうでしょう

2012年09月11日 | 暮らしの落とし穴
 そばの種がほしいという人にはブランドそばの信濃一号を無料であげている。あげるからには、どういう畑にどんな蒔き方をしたのか追跡したい。いつ蒔いてどんな施肥をしたのかや、生育具合を確認しておきたい。
 一軒のお百姓さんを訪ねたんだけど、草の一本すら生えていない一反ほどの畑に、ばら蒔きと条蒔きの両方をされて発芽していた。さすがにプロだなあと感心していたら、種の代金を払うとおっしゃる。もちろん固辞したんだけど、じゃあイチジクを持って行け、と目の前で収穫してくださった。

 イチジクをたくさんいただいても、うちはそんなに食べない。昨日も「持って行け」という人がいたけど、丁重にお断りした。しかし目の前でちぎってくれた日にゃ、ありがたくいただかないと罰が当たりそう。
 さてどうやって食べたものか。かつてイチジク酒を醸したことがあるけど、美味しくなかったばかりか、廃棄物の多さに嫌気がさした。でもワインとかの肴にする人はいるので、定番といわれる生ハム巻きにしてみた。

 飲み物はラム酒のレモン・ミント・ソーダ割り。洋菓子を作るときはマイヤーズというブランドが人気で、そのまま飲んでもサトウキビらしい甘い香りが魅惑的だけど、がぶ飲みには向いていないと思う。
 そこでバカルディのクリアータイプを選択し、まだ見ぬプエルト・リコに思いをはせながら、こんな味でいいのかなぁ?

 イチジク生ハム巻きは、中央に温泉玉子とバジルの葉、ドレッシングもバジル風味でフィニッシュ。イチジクが若いとあって甘みと香りに欠けるが、バジルドレッシングの爽やかさと生ハムの旨味のコラボがこれほどとは!

 生ハム単味で美味しいのだから何も足す必要はないのだけど、イチジクの奇妙な肉感とツブツブした食感の組み合わせが楽しい。この上に温泉玉子の黄身をたらしてみるとバジル香が秋風のように吹き抜け、黄身の濃厚な舌触りが豊穣を想起させる。これはもはや肉でも果物でもない。凝縮された秋のひとかたまりであるといえようか。
 しかしだ、このカクテルはパワーがない。イチジクの生ハム巻きを阻害することはないとしても、中南米のギラギラした活力感にとぼしい。ま、日本の秋だからね、虫の音を聴きながら夜長を楽しむには、これくらいがちょうど良いのかも。