らんかみち

童話から老話まで

石窯を信ずる者は救われる?

2012年09月05日 | 酒、食
 パンを焼く人に見られたら恥ずかしい限りの焼き上がりだけど、そこはそれ、ハンドリングの難しい石窯、ということで容赦していただけるものと信じている。一方で、脱原発依存、スローライフなどを標榜するロハスな人々からは、あっぱれをいただけるだろうか。
 とはいっても、牛乳や卵はスーパーで買ってきたものだし、小麦はオーストラリア産。そこにインスタント・ドライイーストを入れて醗酵させたから、厳密なスローライフを追求する人々には一顧だにしてもらえないだろう。

 島でヤギを飼っているような人もいるから、もしかしたら牛を飼っている人もいるかもしれない。ぼくが知らないだけで、パン用の小麦を栽培している人もいるのだろう。
 本気でやれば自給自足の真似事くらいはできるのかもしれないけど、そこまでは考えていない。「石窯を囲んで交流を深めましょう」程度のことで始めた「パン焼き同友会」なのだ。
 今現在のところは、地元の人とIターン、Uターン組をターゲットにしているが、ゆくゆくは外国人との交流にも手を広げよう、といった目標は掲げている。

 実をいうと、市内の老舗パン屋さんのご主人が顔を出してくださったのだけど、店ではミキサーを使ってこねているし、電気やガスのオーブンを使っているので、「指導する自信はない」とおっしゃる。謙虚な方らしく、パン種の行程でちょっとだけ手本を示してくださった。しかしさすがに石窯は経験がないということなので、これは我々自身でトライアンド・エラーを繰り返しながら学ぶしかないのだろう。

 まあそれは良いんだけど、石窯で焼いたらどんなパンでも美味しくなるかっていえば、あり得ない話ではなかろうか。今日みたいにケースにふたをして焼くなら、なおのことだろう。
 石窯で焼いて美味しいパン、という組み合わせを見つけるのは至難だと思う。いやそもそも、石窯で焼くのはイメージという付加価値でしかないのでは……ああいかん、自分たちが石窯を信じないで、どうするよっ!