らんかみち

童話から老話まで

まるでスーツを買うみたいに結婚

2010年11月13日 | 男と女
 今年の秋祭りが終わるや、来年は「櫂伝馬」を踊る適齢の子どもが一人しかいないので、伝統芸能が途絶えてしまう危機に直面する、という話になりました。
「損長、あんたの責任でなんとかせんかい」言われ、「じゃあ踊り子を公募してみようか」と答えたけど、よその村の子どもを毎晩、一月も踊りの練習通わせるなんて現実的ではありません。
「なら損長が出来合いの嫁をもろうたらええがな」などと、ユニクロで吊しのダウンジャケットを買うみたいに、つまりは「こぶつき」の女を娶れと。そっちの方がよっぽど非現実的じゃないかと思っていたら、甥がいとも容易く吊しのスーツを買いました。

 甥もそこそこの適齢期で、といって、モテる男なので数々の浮き名を流したというのに、どうしてそこに落ち着くのかいな。罰ゲームみたいに他人様には見えるだろうけど、二人の連れ子にもなつかれているようで、本人はごく自然なことだと考えているのかもしれません。

 知人にもっとすごい男がいました。二人の子を連れた女性と結婚し、やがて離婚の末、女性の連れ子は知人が育てることに。
「しょうがないやん、女の再婚した相手が『子ども要らん』言うんやから、オレが育てるしかないがな」
 あっぱれ、見上げたもんだよ屋根の上のバイオリン弾き! 経済的にはなんとかなっていたみたいだけど今どうしてるんだろう。時々思い出しては心配していたけど、甥の場合は夫婦末永く幸せに暮らせるよう祈ろうと思います。