らんかみち

童話から老話まで

プロ野球の応援はトルコ風

2010年08月31日 | 暮らしの落とし穴
 今を去ること30数年前、巨人ファンだったぼくは江川事件をきっかけに、南海ホークス、近鉄バッファローズ、広島カープと、根無し草のように野球チームのファンを渡り歩きました。
 あの当時、江川氏を疎ましく思ったのもあったかしれないけど、巨人ファンであることの後ろ指に耐えかねたか、あるいは球界の醜さに対する、ささやかな当てつけだったのかもしれません。

 近年、セ・パ統一リーグの話が持ち上がって近鉄も無くなったし、阪神を精神的より所にするほど忍耐強くもないぼくなので、メジャー中継は観てもプロ野球中継は観なくなってしまいました。
 ところがさっきテレビをつけたら阪神vs横浜の試合をやっていて、何気なく画面を観ていると、友人で先年亡くなったTEL爺がバックネット席で手を振っている! 

 阪神ファンだった彼は生前、「バックネット席で手を振るから見つけてくれ」と、甲子園からぼくにメールしてきたことがありました。
 どうせ人妻同伴でよろしくやっているに違いないので、ひがみ根性が首をもたげて試合を観なかったけど、幼稚な遊びに付き合わなかったのを後で悔いたのは事実。
 そやからいうてTEL爺、彼岸から手を振るような嫌がらせすることないやん。なんて画面に目をこらすまでもなく、まさか、いやもちろん、バックネット席で手を振っていたのは、うさん臭い風体もそっくりな別人、だったと思う……。

 久しぶりにプロ野球中継を観ていたんですが、あっ! これはトルコ行進曲じゃないか、と応援マーチを聴いて驚きました。
 他の試合はどうなのだろうと、ロvs楽の試合を観てもヤ・巨の試合でも、バッターボックスに立つ選手によってはトルコ行進曲のリズムが使われているのです。そりゃどんなんやねん? いうたらこんな感じです。

              Mozart Violin Concerto 5 (5of 5) Janine Jansen- violin
              

 トルコ行進曲と聞いてモーツァルトのピアノ曲を思い出すのか、それともベートーベンの曲を思い浮かべるのか人それぞれでしょうけど、ぼくはモーツァルトのバイオリンコンチェルト5番です。
「どうして5番は『トルコ風』って呼ばれているんですかね?」と、最初に習ったバイオリンの先生が首をかしげるもんだから、
「そりゃあ先生、ドーン、ドーン、ドンドンドンっていうトルコ軍楽のリズムを使っているからです」などと、したり顔で啓蒙してあげたことがあります。

 それにしてもこの演奏、モーツァルトにしては少しギラギラしてないかい? もうちょっとこう、お彼岸のさわやかな風が吹き抜けるような演奏を聴きたいんだ、ぼくとしては。パワフルで情熱的な演奏も素敵なんだけど、今日の昼間みたいに残暑厳しゅおます。