らんかみち

童話から老話まで

施餓鬼デビューの坊さんヒヨコ

2010年08月18日 | 暮らしの落とし穴
 施餓鬼供養(せがきくよう)とは、「あなたの先祖は餓鬼道という、食い物も飲み物も口にした途端に炎と化す恐ろしい所に落ちている。これを助け、自らも餓鬼道に落ちないためには水や食い物をお供えして祈るしかない」と寺に脅され、一年に一度ご先祖さまを思い出すお祭りです。
 もちろん供養先にありきですが、秋祭りの前の祭りだったのは実際のこと。昔は夜店もたくさん出て、老若男女が菩提寺の境内で盆踊りを楽しんでいたんです。

 ところがぼくは今じゃ、お寺の手先になって「あなたのご先祖さまは……」と村人を脅して回り、供養料を巻き上げるのに荷担しておる次第です(もちろん極論です)。
 つまり本日は菩提寺の施餓鬼供養の日だったのです。施餓鬼堂にて紙の位牌に戒名を書いてその前に寺が用意したお膳を置き、檀家の思い思いのお供えをします。そこに、新仏さんの供養を本堂で執り行った後、お坊さんの集団が来られてお経を唱えて回るスペクタクル。
 お坊さんのヒヨコも施餓鬼デビューがこの蒸し暑い夜とは、なかなかに素敵な修行となった模様です。