らんかみち

童話から老話まで

真珠拾いが懐かしい

2008年02月27日 | 暮らしの落とし穴
 子どもの頃の海岸は生き物が今よりずっと多くてエキサイティングでした。それに散歩すると色んなものが流れついていて、なんだかウキウキしたものでしたが、イチジク浣腸の容器をも良く見かけたのはどういうわけだったんでしょう。
 
 そんな中に真珠もあったんですが、大抵は緑色してました。緑色に輝いているならすごいんですが、緑色にくすんでいたので価値の無いものだったんです。宇和島からやって来た養殖業者が撤退したときに、アコヤ貝を見捨てて帰って行き、残っていた貝から真珠が流れ出たんでしょう。ですからまあ置き土産じゃないですが、子どもには十分だったというわけです。
 その後アコヤ貝は定着しなかったのか、それとも他に美味しいサザエなんかが採れるからだれも見向きもしないだけなのかもしれませんが、当然真珠も見つかりません。
 
 真珠養殖業者の次にやって来たのは、海苔養殖業者でした。アコヤ貝と違って、海苔は水温が下がらないと育ちません。その点でもここの海は十分な条件を満たしていたのですが、海苔の収量は極めて低いものでした。その理由というのが、驚いたことにチヌ(クロダイ)が食い荒らすから、というものでした
 
 海苔養殖業者が撤退すると、次にやって来たのは車えびの養殖業者で……って、それはさておき、現状の海は憂うべき惨状を呈してます。アコヤ貝に代わってミル貝がやって来たのですが、地元の人は今ひとつ喜びません。
 釣り人を楽しませたチヌはどこかへ消えてしまい、代わりにやって来たのはイソベラという不味い魚で(釣りたてを刺身にしたらその限りではない)これも地元民には不評です。
 こんな風に、ちょっと留守をしている間にすっかり海が様変わりしました。それもそのはず、ぼくがこんなに歳をとったんだから、と浦島さんになった気分のこのごろです。