らんかみち

童話から老話まで

鳥はなぜ車の前を飛びたがる?

2008年02月25日 | 暮らしの落とし穴
 鳥はなぜ車の前を飛びたがるんだ? と車を運転する方ならだれでも不思議に思う瞬間がありませんか。あれって巣が近くにあるから、車を敵だと認識した親鳥が、巣にいる雛を守ろうと、おとり役を買って敵をひきつける行動なんでしょうね。そう思えば確かに、羽が傷ついた鳥を思わせる奇妙な飛び方に見えることもあります。
 
 しかしそれだけではどうしても説明のつかない現場に遭遇したこともあります。二羽のすずめがぼくの車にぶつかってきて、一羽が気絶してしまったことがあり、もう一羽の方は道路に倒れた相方を心配して駆け寄ったんです。
 
 あの二羽はけんかしていて車に気がつかなかったのかもしれません。でもそれだと、事故の後に相方に駆け寄っていったのは変です。けんか相手なら、車にはねられてざまあ見ろ! と片方は飛び去りそうなもんです。ならもしかして、この季節の猫といっしょで、周りが見えないほど発情していたのでしょうか。
 しかしその説にも問題は残されています。高速道路を走っているトラックに飛び込んで行く鳩の行動を説明できないのです。
 
 ぼくが思うに、鳥たちがわざわざ車の前で飛び立ったり横切ったりするのは、どこかの国の部族で行われているバンジージャンプや、鮫を釣り上げることが成人になるための通過儀礼であるように、鳥たちも車を相手に度胸だめしをやっているのかもしれません。
 
 そんなことを考えていると、今も二名の捜索が続いているイージス艦と漁船の事故のことに思いをはせてしまいます。万国共通の海上交通ルールがあるとはいえ、小回りの効くのは漁船の方なのだから、自らの命を守るために積極的に事故を回避するだろうし、常日頃はそうしていたと思います。
 
 元自衛官で今は船乗りの知人に今回の事故のコメントを聞くと、
「自衛隊に対する敬意というものが無いことで起きた事故である。よって自衛隊を軍隊と認めるべきなのである!」
と、極論に発展してしまうんですが、己が能力を過信して車の前を飛び、うっかりぶつかってしまう鳥たちのように、漁船側にも慣れによる油断があったのかもしれません。いずれにしても二人が無事であれかしと願わないではおれません。