らんかみち

童話から老話まで

大般若経のご利益

2008年02月18日 | 暮らしの落とし穴
 動画をアップしておきながら、何も書かなかった大般若経の転読会ですが、実はぼく自身が地元出身のくせに、その催しの由来が分からなかったのです。それで菩提寺のご住職の日記を待ってコメントを書いてみたりする始末です。
 
 あの行事ですが、当地の金毘羅神社(海の神様を祀る)に保管されている大般若心経は全600巻あり、その一部の200巻を読むのだそうです。つまりどうやら、大般若経転読会というのは、いうなれば経典の虫干しらしいのですが、子どもの頃は何の行事だかさっぱり分かっていませんでした。
 
 あのお経をパラパラと開いて閉じる作業を、お坊さんがやっているというのだって知りませんでした。テレビで見るどこかの立派なお寺だけの行事だとばかり思ってました。それがこんな小さな村にもあるなんて、ちょっと胸を張れるなと思います。きっと江戸時代のご先祖様方もそう思って取り入れた行事なのでしょう。
 
 子どもの頃は、この経典の入った箱を、大人の人が籠を担ぐようにして家々を回り、ありがたいご利益があるといわれ、ぼくたちはその下をくぐったものです。ですがその甲斐も無く今のぼくの体たらくです。

 いや、そうではなく、経典の下をくぐったからこその体たらくなのかも知れないと思えば納得できます。もしも下をくぐってご利益をいただかなければ、今頃は草葉の陰で「うらめしや~」などと恨み言を申しているやも知れません。