らんかみち

童話から老話まで

送別会に思う

2007年08月09日 | 童話
 童話講座の皆さんにぼくの送別会を催していただきました。校外授業も兼ねてのイベントだと聞いていたにもかかわらず、料亭に到着したときの皆さんはすでに飲み会モード側にスイッチが倒れていました。
 
 前回の講座に提出していた物語も日の目を見るのは二週間後となったのですが、それで良かったのでしょう。なぜなら、通常でさえハードな合評なのに、酒が入った日にゃどんな扱いを受けるか想像すると身震いしてくるからです。
 
 それにしても皆さん飲むわ飲むわ! こんな酒豪たちと肩を並べていたかと思うと、それが童話教室で良かったなと思わずにはいられません。
 その店の料理美味しかったのは言うまでもないのですが、良くぞここまでの種類の銘酒を揃えたな! と驚くほど全国の美味しい酒を楽しむことが出来ました。
 
 こんな素敵な送別会を執り行ってもらい、四国から堺市まで童話教室のためだけに通って来い、という皆さんのリクエストに報いたいところではありますがなかなかそうもいきません。皆さんの好意に応えるには童話での入選に向けて邁進するしかないでしょう。その意気で新たな創作に励みたいと思います。

他国に頼るリサイクルは偽物?

2007年08月09日 | 暮らしの落とし穴
 引越しの準備もこれで完璧だなって何気なく辺りを見回すと、ガーン! 部屋に作り付けのものだとばかり思っていたものが、実は自分で取り付けたものだと分かってあせりました。荷物の積み込みは明後日の朝なんですから、こんな所でつまづいているようじゃ先が思いやられます。
 
 そこで朝から頑張って作業をしていました。すると、
「リサイクルの○○は明日の環境を考えます。テレビ、パソコン、その他を無料で引き取ります。こちらは、明日の環境を考えるリサイクルの○○です……」
と、リサイクル屋さんが叫んでくるではありませんか。
 昔なら「くずい~お払い」と言いながら、銅(あか)と引き換えにお金をくれたものですが、最近では「引き取ってやる」と高飛車な物言いをするようです。

 でもそれは彼らに文句をつけるべき筋合いのものではありません。だってそうでしょう? 市に処分を依頼したら、リサイクルもしないくせに「金をよこせ」といわれるんですから。
 
「なあお兄ちゃん、どんな物やったら引き取ってくれるん?」
 リサイクル屋さんの軽四トラックを止めて聞きました。
「う~ん、とりあえず物を見せてくれるぅ?」
 そういう流れで部屋に来てもらうと、
「引越しするんや、どこへ行くの?」
 そんなんほっとけや、と言いたくなるほど馴れ馴れしい兄ちゃんで、若いくせにタメ口をきくのですが、ぼくが処分したい瞬間湯沸かし器、掃除機、ガスコンロを喜んで持って行ってくれました。
 
 あらかじめ取り外しておいて、しかも綺麗に掃除しておいた物ですから何の造作もなく持って行くことが出来たのですが、部屋にはエアコンが無いのでお兄ちゃんは五月雨のような汗を流しました。
 あんまり気の毒なのでエレベータ前まで運ぶのを手伝ったのですが、別れ際に、「明日の環境を考えるのも大変やねえ」と言ったら、
「そんなん考えてませんって、今晩の酒と肴のことがせいぜいですわ」と笑いました。
 
 あれは少なからずお兄ちゃんの本音だったと思います。彼は品物をかき集めるだけですし、持って行って金をくれる先だってそのまま中国辺りに不用品を輸出して、現地の名も無き人々の手によって故障したテレビやラジカセが息を吹き返すのでしょう。ぼくの湯沸かし器やコンロもステンレスや銅(あか)に分別されるのでしょう。
 彼らにとって環境がどうのなんて真剣に悩むより、その日の生活をまっとうすることでリサイクルが達成されるのでしょう。
 
 リサイクルというのは、明日の環境を考える余裕も無い人々の手によって支えられているのです。今夜の酒にありつけられたらそれでいいのだと言う人たちの手から他国の人の手を経て初めてリサイクルが完結するのです。

 こんな風に行政がリサイクルにおいては何の機能も果たしていないどころか、天下り先の確保のためにリサイクル事業を食い物にしているのだとしたら、日本の環境行政は遠からず社会保険庁の二の舞を踏むでしょう。

 明日の環境を考えてくれとは言わないから、せめて「お役人」というゴミを出さないような方策を政府は考えて欲しいものです。