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らんかみち

童話から老話まで

半磁器土で荒行

2010年09月30日 | 陶芸
 中国電力の縄張りである当地に住みながら、広島県人気質はよく知りません。童話講座の広島県人をサンプリングしても大した説得力は無いと思うけど、言いたいことを忌憚なく言葉になさるのが広島県人気質の一端かと思います。
 広島県のとある陶芸屋の親父さんもそんなタイプで、磁器土をくれと店先で告げたら、「あんたの腕で磁器土は無理じゃけぇ、半磁器土にしときんさい」と、忌憚のないアドバイスをいただき、テメー何で俺のろくろの腕が分かるんじゃ!

 親父さんが言うのもごもっとも。1年前のあの時はヘラとかカンナの初心者セットみたいなのを買ってから磁器土を求めたので、ビギナーであることがバレバレだったんです。
 広島県人に舐めたこと言われて尻尾を巻き、松山の砥部に行って砥部土(磁器土)を買ったら、使い方を丁寧に教えてくれました。やっぱ愛媛県人は物言いもさることながら、人当たりが穏やかでええわぁ~。

 それで磁器土を使って徳利など作ってみたけど、砥部土は非常に扱いづらく、まともな物を作れませんでした。そんな経験があって、今日は広島の親父さんに屈したかたちで半磁器土を使って大皿にチャレンジしてみましたが、練っているときから砥部土に似た感触じゃないですか。
 ろくろの上に乗せても中心が出しづらく、腰がないのですぐにへたってしまい、35cmの皿を挽くのに3回もやり直しました。妥協すれば済むのに、自分にできるぎりぎりのところを狙っているので失敗するんです。しかし限界を超えてみないと、今の自分にとってどの辺りが限界か分かりませんよね。損長行も毎日が限界付近の荒行です。

陶芸の見学ツアー

2010年09月09日 | 陶芸
「君ゐ、君は陶芸をする前に葱を育てるべきではないかね」とおっしゃいながら、陶芸クラブの百姓もどきであらせられる要釉斎先生が、なぜかネギの苗をどっさりくれました。
 ネギは渡りに舟だったものの、陶芸をする前にとは何か意味深なことがあるのかどうかで悩みましたが、あちゃ~、引き取り手がいなかったからお鉢が回ってきただけのことか。

 今日も30cm程度の皿を挽きました。久々の赤土ですが、今までで最も満足できるものができました。皿は浅く平べったいものほど作るのが難しく、ぼくの作ってきたのは鉢と言っても良いようなもので、そういうのは楽なんです。
 それに削りを少なくするには高台も小さく作りたい。が、それ以前に30cm径以上のものを作るとき、皿の外周部分のツバを作ろうとした途端に全体がペッシャンコになってしまってたんです。自己採点したら60点くらいの皿ですが、これでようやくやりたいことができるようになったかもしれません。

 北海道旅行を楽しんでこられたミーナさんがブログに綺麗な写真をアップされていて、ぼくも行きたいなあ! でもどうやって旅行のプランを立てるんでしょう。というのも、陶芸クラブで「日帰り陶芸見学ツアーを探してくれ」と言われたんですが、備前焼まつりに行きたい。ああだけど大阪からはあるけど、愛媛からの日帰りツアーが見つからない!

陶芸クラブの掟破り

2010年09月02日 | 陶芸
 陶芸クラブにて30cm程度の中皿ばかり挽いておりますと、「君ゐ、そがいにようけ中皿ぎりこしらえて、家の床が抜けはせんかね?」と、クラブの仕分け人であらせられる要釉斎先生に見とがめられました。
 たしかにうちは安普請に見えますが、昔の大工さんが建てた家なので無駄に頑丈かと思います。しかし改築した部分については、何も置かなくても床が抜けはすまいかと杞憂を抱えており、皿どもはクラブのおばちゃんたちにOEM供給する予定です。

 急須作りが一段落して、この2か月は中皿を引き続けてきましたが、陶芸を初めて足かけ2年というところに来てようやく皿の内側を削らなくても良い作品ができました。今までは皿の内側にちょっとした段差ができてしまうのを克服できななったんです。分かってしまえば、なんだこんな簡単なことだったのか、とバカらしく思えることができなかったんですね。

 クラブ御用達の土で練習を済ませたので、これからは禁断の個人仕入れ土を使って本番です。クラブの土は運営費が含まれているので、高いけど使わないとクラブが立ちゆきません。だけど同じ土ばかり使っていたら電動ろくろを使う者は似たような作品しかできなくなって飽きてしまいそう。
 なのでここはひとつ堂々と掟を破ってでも自らの作品作りを優先したいと思います。県展に応募できるほどの作品は無理としても、文化祭への出品とか色々ありまして……。

裸でろくろに向かい、暑さを乗り切る涼芸クラブ

2010年08月05日 | 陶芸
 今夏の最高気温を記録したかも知れない今治地方にあって、本日の涼芸クラブはのっけからアイスコーヒーと西瓜で涼を取り、てか、我が陶芸クラブにはエアコンが無い! 料芸クラブと呼ぶべきところを涼芸クラブと言い換えて逃避を謀ろうが、汗だくになってろくろを回すのが現実なのです。

「ワシはもういかん、この暑さで今にも死にそうじゃ」と、クラブの講談師であらせられる要釉斎先生の怪談噺を聞かされ、背筋に冷たいものが走ったのもつかの間のこと。中型の皿とミニ急須を組み立てるのが精一杯の蒸し風呂状態でした。

 クラブのメンバーが去り、サウナと蒸し風呂、どっちも同じものなのに、なんでサウナが気持ちよくて蒸し風呂が気持ち悪いのかと考えて、裸か服を着ているかの違いではないかという答えに至りました。
 そうか、裸になってろくろを回せば気持ちいいんだ! こんな簡単なことにどうして気がつかなかったのだろうと服を脱ぎかけたとき、「今日は掃除をさせていただきますので」と女性職員さんが現れ、危うく狂気の沙汰をまぬがれました。
 
 手のひらサイズのミニ急須ですが、小さいものは大きいものを作るのと同じか、それ以上にむつかしい。小物を作るなら専用の道具が必要なのだと、作ってみて初めて気がつきました。
 
 昨日指を釣った船長から電話があり、病院で麻酔をかけてから指を切り開いて針を取り出したのだとか。ちょっとした観血的オペだったって、ぼくのせいじゃないけど申し訳ない気持ちです。自分専用の舟があるんだから、釣りたいなら自分で行けってことかいな……。

まあ、陶芸に文句もあるだろうけど

2010年07月08日 | 陶芸
「取っ手を下にして逆立ちできないようでは、急須に非ず」とは、わが陶芸クラブの逆ネジであらせられる要釉斎先生の教えですが、ぼくの急須も5作品目あたりから逆立つようになりました。この作品は6作品目の急須ですが、デザインはともかく作りはそこそこの出来上がりです。

 う~む、これがうまく焼き上がったら菩提寺に奉納しよう、と思って和尚さまの昨日の日記を読んだら、陶芸家を貶めるかの発言が! 宣わく、「そもそも作務衣というのは坊さんの作業着でありながら、昨今では芸術家を名乗る御仁が結婚式などに、まるで礼服であるかのように着て現れる。礼を失してはおらぬだろうか」と。
 
 作務衣と甚兵衛の違いも定かでないぼくが言うのもなんだけど、そりゃあ作業着で結婚式はいかんだろう。ていうか、いやいや出席するなら嫌がらせの一つもしたくなって……そんなことないですよね。それに、いくら陶芸家が貧乏でも礼服の一つくらい持ってるだろうし……なんかもう、神事だろうが仏事だろうが、もうどうでもいいような……。

生きていれば急須も作るわい

2010年06月25日 | 陶芸
 平形急須を作り続けて180有余日、違いの分かりかけてきた似非陶芸家のHALですが、本日の陶芸クラブで縦型急須に手を伸ばしてみました。
 平べったい急須って形はスマートだけど使い勝手に難があるというか、茶葉がお湯を吸って沈下するのを待たずに湯飲みに注ぐと、中国茶のように茶葉も湯飲みに入ってしまうこと。もっとも、ぼくの開けた茶こしの穴が大きすぎたのかもしれない。あるいは、葉が開ききっていないのに注ぐという蹉跌か。
 
「君ぃ、漱石の草枕を読んだことがあるじゃろう。なに、読んで無いとな!」
 我が陶芸クラブのご隠居であらせられる要釉斎先生に白い目で見られましたが、恥ずかしながら漱石は数冊しか読んだことがないのです。
「本を読まぬ者はものを書くなという言葉があるが、茶を飲まぬ者は茶器に手を伸ばしてはいかん。たとえば君のこしらえたこの急須じゃが、非常にバランスが悪かろう」
 要釉斎先生のおっしゃるのもごもっともで、自分でも取っ手が長すぎて注ぎ口が大きすぎるように見えます。というか、本体が小さすぎたんですかね。
 
「草枕の中で主人公の画工が、とあるご隠居から煎茶の指南を受けるんじゃが、曰く『茶は飲むものではない、聞くものである』と。つまり茶というものは口で味わうのみならず、五感を研ぎ澄ませて対峙するものであると言えようのぅ」
 あぁ~もう、煩いったらありゃしない。たしかにぼくはお茶を飲まないけど、急須の機能美に惚れ込んで作っているんです。突き詰めれば茶道の精神性にたどり着くかも知れないけど、なにも要釉斎先生のような境地を目指しているわけじゃないんですよね、放っといて欲しいって言いたくなります。
 
 この日記を読んで下さっている方から「あんたの日記には、お師匠さま、もみ爺、要釉斎先生などなど、個性的な人物が跋扈しておるが、なかなか面白い脚色であると思う」と、ご感想をいただくことがあります。
 脚色していないとは言いませんが、つぶさに書けないだけで、実態はもっと読者の想像を裏切るとんでも無さがあり、とんでもないが故に抑制して書いた結果がこの日記なんです。
 
「自分はそんな発言をした覚えは無い」と、登場人物でもあり読者でもある方から言われることもあります。でも言葉を修飾、もしくは粉飾していることはあっても、主義主張を尊重して登場していただいているので、クレームがついたことは無いです。言いたいことを代弁しているって面もあるかも知れませんしね。
 まあそんなわけでっていうか、ぼくを取り巻く状況は結構大変なんですよね、ほとんど全てが好意から発生しているだけに……。
 

おーいお茶で煎茶修行

2010年06月21日 | 陶芸
 ここんとこ陶芸クラブに行っても自分の作品をこしらえてません。お茶だのお菓子だのを持ってきてくれるおばちゃんたちの求めに応じて作品を作って差し上げる、いわばOEM(相手先ブランド供給)というのに忙殺されてるからです。
 夏までにもう一窯焚こうと考えていたけど、とうてい無理な話だなと、先日のこと急須の新しい形にチャレンジしていたら、クラブの筆頭茶坊主であらせられる要釉斎先生が自作の急須でお茶を煎れてくださいました。
 
「君ぃ、茶もコーヒーやウヰスキーと同じで、ブレンドのセンスが問われるが、自分好みの茶に出会える幸運はなかなかに無い。これは静岡から取り寄せたものじゃ、賞味したまえ」と、ぐい飲みに注いでくださいました。
 ああだけど、ぼくはお茶が苦手。少し濃いのを飲んだだけで頭が痛くなり、もっと濃いのを飲んだら気分が悪くなってゲロ吐きそうになることも少なくないのです。
 
「君ぃ、ワシの煎れた茶が飲めんというのかね」などと先生に言わせるような事態だけは避けないといけないので、我慢して飲んだけど、めっちゃ濃いがな! あ、だけどすこぶる甘い。
「一煎は甘み、二煎は苦み、三煎は渋みと言うて、それぞれの味を楽しめるのが良い茶の証じゃ。この茶は五煎まで耐えられるんじゃが、君に進呈しよう」
 そうおっしゃりながら二煎三煎と煎れてくださったんですが、あら不思議、頭が痛くなりません。ついに修行の成果が出たのかなと、先生が帰られてからベンダーの「おーいお茶」を買って飲んだところ、やっぱりダメだ!
 
 おーいお茶に限らず、どのメーカーのペットボトル茶を飲んでも頭が痛くなるけど、要釉斎茶は濃いのに頭が痛くならないのはどうしたことでしょう。一握りほどの茶葉をくださったので自分で煎れてみたいけど、新作急須が出来上がってからにします。それまでおーいお茶で修行するんですが、CMがなかなか素敵、というよりBGMが良いんですよね~、これを聞きながらだと気分よく飲めそう。
 
バッハ無伴奏ソナタ3よりラルゴとアレグロアッサイ


バイオリンの旧約聖書と評される、バッハの三つの無伴奏パルティータと三つのソナタから、ソナタ第三番、ラルゴとアレグロ・アッサイ。大阪の中学生らしいけど、そこそこ上手ですね。

売れ残りに福があった

2010年05月20日 | 陶芸
「今日はお小遣いの日ですよ~」と、皆さんの売り上げから陶芸クラブがピンハネした残りを払い戻しました。
「そりゃあんたは小遣いにもなるわな、1個100円で大量の作品を売りさばいたんだから」
 まだ言われなアカンかぁ? そりゃダンピングしたのを否定はしないけど、釣りだって撒き餌をすると魚が集まってくるじゃない。スーパーだって1パック98円の玉子で集客するのと同じで、去年の4倍を売り上げた要因は、天気が良かっただけじゃないと思うんですけどぉ。
 
 陶芸を始めて半年余りして焼いた作品に100円の値を付けたんです。自分では恥ずかしくて売るなんてできないと思ってました。高台が欠けていたり、発色が非常に悪かったりする作品なんて、100円で買ってくださる奇特な方は現れないだろうと思っていたら、飛ぶように売れてしまってひんしゅくを買ったのです。
「安い買い物をしたと思ったら、きっと来年も来て買ってくれるよ。だからそんなにHALを責めるなよ」
 ぼくを擁護してくれる心優しい向きもあって、救われました。
 
 ところで、バラ祭りの初日が窯出しの日だったので、作品に水を入れて漏れをチェックすることができませんでした。バラ祭りが終わってからもあわただしく、自分の作品を使ってみることができず、先ほど売れ残ったぐい飲みに水を注いでみたところ、すごい! 
 たった1個なんですが、水の乱反射か屈折かなんかの作用で、ほんのわずかだけ輝きの増すぐい飲みがあるじゃないですか。安酒を注いでみたら酒がすすむのなんの、こんなの初めてです。ちゅうわけで、酔っ払って書いている日記ですから……。

バラ祭り 売れて空しき 茶碗かな

2010年05月16日 | 陶芸
 貧相なバラの開花とは裏腹に、快晴に恵まれたバラ祭り二日目は思っていた以上の人出を受け、迷子や喧嘩も勃発したようです。この恩恵にあずかったかたちで我が陶芸クラブの売り上げも昨日の倍を計上したと聞いてます。ぼくの売り上げも単純に倍以上となり、初日に引き続きトップの座を守れたのはカマドンのおかげかもしれません。
 
 それにしても、日陰のステージに作品を展示している皆さんから少し疎外されたかたちで炎天下に作品を並べたぼくですので、今朝起きたら顔が日焼けで真っ赤になっているじゃありませんか。
「あんた、外で店番しとかなアカンやないの」
 ちょいと日陰に入ろうものなら、おばちゃんに外に追い出され、また舞い戻ってきたら今度は当クラブの茶坊主、要釉斎先生のお言葉をいただく羽目に。
「君ぃ、緑色した茶碗で抹茶を点てて器が映えると思うかね、君はまだまだ勉強が足りん」
 ぼくのぐい飲みを持って「茶碗とは」と解説が始まったのを幸いに、少し日陰で休むことができました。悲惨だった昨日の朝を思えば、本日は極楽のようです。
 
 昨日は何が悲惨だったといって、4作品の急須の蓋が全て本体にくっ付いて取れなかったんです。蓋を本体に乗せて焼かないとガタが出たり蓋が本体に入らなくなったりすると教わったので、その通りにしたらこのザマです。
 ゴムのハンマーで叩けば取れる、と言われてその通りにしたら、パリン! 急須の本体を一個割ってしまいました。手を怪我しなかっただけラッキーだ、なんて慰められても、可愛く出来た急須だったので昨日はしょげ返っておったのです。
 
 しかし本日の売れ行きに、これで今まで作り貯めてきた、いや、貰い手の無い作品群の大蔵ざらえを完遂できそう、などと気を良くしながら、緑がかった茶碗をこっそり並べようとしたところ、
「君ぃ、その茶碗にいくらの値を付けるつもりかね」
と、要釉斎先生に見咎められました。
「そ、そうですねぇ、500円くらいが相場かなと……」
 先ほど言われた緑がかった茶碗ですから、控えめな値を回答をしました。
「よっしゃ、それ、ワシが買うた!」
「はあ? せ、先生ゑ、気は確かで……」
 そりゃ耳を疑いたくもなりますよね、いうなればぼくは弟子なんですよ。実質的にはそうでないとしても、「茶碗とは」なんて講釈を賜る側の作品を買うなんて考えられないじゃないですか。しかし先生は本当にぼくの2作品をお買い上げくださったのです。
 
 そればかりか、島のトップアマ陶芸家も見物に来て、ぼくのぐい飲み2作品をお買い上げくださいました。訳が分かりませんよね、だって自分でこしらえてぼくの作品以上のものが出来る人なんですから。ぼくだったら目下の作品を買うなんてこと、まずしませんよ。
「これはねや、あんたが焼いたんじゃないんよ、窯が焼いたんじゃが」
 そう聞かされて、なるほど! ぼくが焼いたと思われたら買うはずもありませんが、カマドンが焼いたというなら話は分かりました。ぼくとしては失敗作なんだけど……。
 
 不思議なことばかり起きたバラ祭りも終わり、これから本格的に咲き誇るであろうバラを前にすると、急に気だるさを覚えました。ゴム飛行機のプロペラがエネルギーを出し尽し、ゴムがヘロヘロにたるんでしまったら落ちるしかありませんよね。なんだか熱っぽくなったし、咳まで出始めております。今月はもう一山、童話講座って難所が残っているんですが、それまで持つかなぁ、いや持たせないと!
 

バラ祭りの初日、バラは2分咲き、売れ行きは5分咲き

2010年05月15日 | 陶芸
 今朝早くカマドンの蓋を開けて、なんじゃーこりゃー! 大皿はパチンと一部にひびが入り、全体に歪んでいるだけじゃなく発色も悪い。大皿だけならまだしも、取り出すやつがことごとく売り物にならない出来の悪さ。初めて使う釉薬は全て薄すぎたようで、全滅の憂き目を見てしまったあげく、ミニ走馬灯も回転していたかもしれません。
 
 ただ、歪んだり割れたりというのは残念ではあるけど想定の範囲だったし、従来の釉薬を掛けた作品に関してはマンネリだから満足とは言えないにしても、店頭に並べて恥をかかない程度には焼けてました。だけどそれが売れるのかって言えば、保障は全く無いのです。このままじゃいかん! 急きょ家に帰ると在庫を一箱かかえて現場に戻り、ボチボチ値段を付けました。
 
 なんだかなぁ、去年と一緒で自分の弁当代も稼げなかったらクラブに申し訳ないなぁ、と心憂く覚え、
「今日はお祭りなんだから、クヨクヨせずに一杯やりながらのんびり売れるのを待とうよ」と、誘われるまま昼酒に逃避しました。しばらくすると、
「あんたの作品、売れてしまってるよ、早く補充しないと」
 芝生に寝転がっていると先輩に呼ばれ、ブースに帰ってみたら、自分では作品の体を成していないと考えていた物が売れてしまってます。だったらってんで更に出来の悪いのを置いてみたら、これまた売れていきます。不思議だぁ~!
 
 ひびが入った大皿や、歪んでしまったゴブレットも売れるんかしらん、と並べようとしたら、「それ安く売ってくれない?」って、陶芸クラブのメンバーが買ってどうするの! 
 しかしまあ出来損ないを買ってやるって申し出てくれたんなら顧客が誰であろうと断る理由はありません。どっちみち割るつもりだったんだから。
 
 その後も少しずつ売れ続け、終わってみたらトップセールスだったらしいです。といっても、按摩の一回分が懐に入る程度の売り上げに過ぎません。でもクラブにはなんとか貢献できたようで、ホッと胸をなでおろしました。
 明日もこの調子で売れたらいいなと思うんですが、そうなったらそれで色々と軋轢も発生しそうな気もして、なんだか悩ましい。