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■高橋弘子第8回個展『DAMAGED』 (2016年5月4~15日、札幌)

2016年05月15日 20時31分28秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 
 札幌の高橋弘子さんの個展開催ペースはものすごい。
 前回、写真付きで紹介した第2回個展が昨年4月。そのわずか13カ月後の個展が第8回というのだから、ほとんど隔月のペースで新作を世に問うている計算だ。それ以外にもグループ展にも参加している。

 作品はアクリル画と、ペンによるドローイング。
 主なモティーフはオオカミや岩などで、背景はあまり描き込まず、マチエールなども凝っていない。あくまでモティーフをリアルに描く。ただし、色彩には若干変化を施す。
 ドローイングのほうは、紙を一部、コーヒーで染めるなどして、変化をつけている。

 今回の第8回個展は、ギャラリー犬養2階の大きな壁面をめいっぱい使用。
 向かって左側に、オオカミ4頭を描いた「damaged reflection」、右側には(西洋風の)竜をモティーフにした「damaged speculation」が架かっている。
 いずれも、はらわたを露出するほど傷つきながらもなお闘おうとしている。壮絶な絵である。

 




 「いのちよりも大切に思うものは何か」「自分のいのちがないとしてもそのためになら戦うと思えるものは何か」
 高橋さんはそのことをずっと考えている―という意味のやや長いテキストが、会場の壁に貼られていた。

 ドラゴンは想像上の動物であるから、人間の産みだす観念のメタファにもなり得る、という(大意)ことも。
 そして、当人が消えても、ドラゴンは残っているかもしれないということも。
 であれば、オオカミと竜の闘いとは、野性(自然)と人間の闘いの隠喩なのかもしれない。

 …などと、いろいろな思いを、鑑賞者に抱かせる絵ではある。

 背景がいっさい描かれていない(ただし、それは、塗り残されているわけではない)ため、オオカミもドラゴンも空に浮かんでいるように見える。

 この2点以外にも、小品が10点余り展示されている。
 右側は「dragon's play」。
 こんなに危なっかしい岩の積み重ね方をするのは、竜が遊んだからに違いない、というわけだ。

 他の小品は「bone of wolf」「under a wait」「reverberation」などいずれも背景がない。
 骨や石が白い空間に浮かんでいる絵柄だ。


 こちらはペンによるドローイングで、「warning」。
 闘いはオオカミの勝利に終わったのか、それともドラゴンはしっぽを残して生き延びたのか。これまた、ふしぎな物語を感じさせる1点。

 ところで、最近は「写真撮影OK、SNSなどで拡散してください」とうたっている展覧会が増えてきたが、今回ほど絵画の個展で、Twitterで会場の画像を見た展覧会はこれまでなかったと思う。人形や趣味のグループ展などでは、たくさんのツイートが流れることがあるが、絵画の、それも個展はめずらしい。
 したがって、メインの大作を、筆者は実見する前にパソコンで何度も見ることになった。ライトが1カ所に集まって絵の一部が白く光ってしまうため、やはり実作を見るにしくはないのだが…。この現象って、鑑賞する人の意識にどのように影響するんだろうと、あらためて考えこんでしまった。
 

2016年5月4日(水)~15日(日)午後1時~10時30分、火休み
ギャラリー犬養(豊平区豊平3-1)

http://hirokotakahashi.net/
□twitter @harutoki_k


高橋弘子第2回個展「Subjective observation」(2015)




ギャラリー犬養への道

・地下鉄東西線「菊水駅」から約700メートル、徒歩9分
・中央バス「豊平橋」から約180メートル、徒歩3分

・地下鉄東豊線「学園前駅」から約1キロ、徒歩13分

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