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■第56回北星学園女子中学高等学校 美術部 はしどい展■第12回はしどいOG展■第4回写真同好会校外展 (2019年2月5~10日、札幌)

2019年02月15日 18時00分56秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 筆者は近年、高校生以下の絵画などについてくわしく取り上げることにかなり消極的になっている。
 「どうせ」というと語弊があるが、元気な絵やおもしろい彫刻をつくった人も、10年後、20年後にはほとんど創作を続けていないからだ。だったら、作者名まで書かない方がいいのではないかと思う。
 ただ、ごくまれに
「この人はすごい。将来も作り続けるのでは」
という高校生が存在する。 

 今年の「はしどい展」で見たのは、その「ごくまれな」例であった。
 冒頭画像は、葛西響翔さん「胎児」。

 薄緑色の毛布のような布の上にピンク色のコート姿で丸くなって横たわる少女。青春の鬱屈と悩みを見事に表現している一方で、かたわらに咲く鉢植えのキク科の花が希望を表しているようだ。
 余計な要素と色彩をそぎ落とし、描きたいものに絞っているところがすばらしい。人は、自信がないと、ごちゃごちゃと不要なものを画面に加えたがるものなのだ。

 さらに感服したのは、会場には昨年の独立展で入選を果たした作品も展示されているのだが、そのときの絵よりも「胎児」のほうが格段に描写力が進歩していること。若いって、すごいなと思う。



 もうひとり、昨年の独立美術で入選したのが山田瑠菜さん「ある日人類が消えた」(右)。
 こちらは例年のはしどい展に比較的よくある、SF的な空想力を生かしたダイナミックな一枚。

 左は昨年の学生全道美術展で奨励賞を受けた「私を甘やかして」。

 キャンバスが高いので、板をつなげて支持体にしているのも、北星女子の伝統である。

 なお、顧問の波田浩司さん(独立展・全道展会員)は珍しく賛助出品していない。


 同時開催されていたOG展では、やはり飯沢能布子さんの七宝作品が、絶妙の発色。
 インドネシアの染色「バティック」を手がける中田ゆう子さん、抽象的な水彩画の岩川亜矢さんも出品していた。
 佐々木ゆかさんが、泡に覆われた風呂につかる女性を描いた絵画を3点出していたほか、山口彩紀さん「追想 I」などが確かな技倆を見せていた。


2019年2月5日(火)~10日(日)午前10時~午後6時(最終日~3時)
ギャラリー大通美術館(札幌市中央区大通西5 大五ビル)


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