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■第41回 白日会北海道支部展

2007年08月31日 23時09分34秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 昨年の第40回展でも書きましたが、雑誌などで見るかぎり、白日会の本展(ことしは東京都美術館、来年からは国立新美術館で開催)では、写真と見まごうばかりのスーパーリアリズム的作品が増えているらしいです。
 そのためか、白日会北海道支部の長老、平野俊昌さん(札幌)によると
「最近は入選するのがたいへんなんです」
とのことで、入選していない絵も、こんどの支部展には展示してあるそうです。
 そのスーパーリアルの、北海道を代表する描き手である中原宣孝さんが、ことしは出品していませんので、会場は、いかにも日展系の公募展らしい、おだやかなリアリズムの絵画ばかりになっています。

 なお、C室があいていたため、A室に新作をならべ、C室に「過去に出品した想い出の作品」を展示しています。
 C室の平野さんの「くつろぎ」(P80)は30年前の作品だそうです。
 ちなみに、平野さんの新作「ほのかな北の香り」(P80)は、壁にかけられた青いアイヌ衣装の前に立つ、黄色いアイヌ衣装を着た若い女性がモデルです。とても90代の人の筆になるとは思えません。

 個人的には、A室の小川智さん(札幌)の「冬の岬」(F100)が気に入りました。
 冬の、がけのきりたった海岸なのですが、雪雲の間から日がさした瞬間の光の調子がよく表現されていると思います。日に照らされているのは一部だけで、雪雲の陰になっている部分との対比がみごとです。冬の日は弱々しいですが、しかしそれだけではない、微妙な調子が、よくとらえられていると思います。
 「入江風景」(F130)は、小樽市内の高島か忍路あたりの景色と思いますが、畑仕事をしたり、漁網を運んだりする人の姿が点景として描かれているのが特徴です。

 一貫して静物画にとりくんでいる南里葉子さん(札幌)は、F60の「イースターの朝」よりも、F30の「麦と砂時計」のほうがすきです。背景の、筆の置き方に、空気のふるえみたいなものを感じるからです。
 川村正男さん(同)「時雨れる斜里岳」(F60)は、空気遠近法で風景の奥行きをしっかり出しています。手前に広がる野の緑色も、みずみずしいです。
 芳賀文明さん(網走館内美幌町)は、雪景色を毎年描いています。ありふれた風景のなかに、北海道の冬の真実があるのだと思います。
 
 出品作はつぎのとおり。「/」の後は、C室の展示作。
川村正男    「時雨れる斜里岳」「ブルージュの橋」(P30)/「中世の香り漂う街」(F60)
高橋芳夫(札幌)「丹頂鶴の舞」(F60)「アトリエの一隅」(F20)/「レンギョウと金鶏のある静物」(F50)=以上水彩
南里葉子    「イースターの朝」「麦と砂時計」/「一粒の麦」(F60)
平野俊昌    「ほのかな北の香り」/「くつろぎ」(P80)
小堀清純(札幌)「ランプと枯花」(F60)「陽朔風景(中国)」(F40)/「枯花」(F60)=以上水彩
中谷勝善(札幌)「港町」(F80)/「早春の林道」(F50)
芳賀文明    「初春」
小川智     「入江風景」「冬の岬」/「運河夏日」(F100)
中西堯昭(十勝管内清水町)「凍原」(F60)/「山麓秋彩」(F60)
松信元一(札幌)「無」(M30)「ひととき」(同)/「対話」(S60)
関建治(恵庭) 「春待つ浜」(F100)/「春待つ知床」(F100)
吉田ユキ子(江別)「ヴァイオリンのなる部屋」(F100) 


8月27日(月)-9月1日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A

□白日会 http://www.hakujitsu.com/

第40回記念白日会北海道支部展(画像なし)


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