北海道美術ネット別館

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夜明けまえ 知られざる日本写真開拓史 北海道・東北編 2013Mar.東京(7)=函館に5月18日~7月14日巡回

2013年07月09日 12時50分00秒 | 展覧会の紹介-写真
(承前)

 幕末から明治にかけて、日本の写真の黎明れいめい期の作品・資料を、大量に展示している。
 展覧会を組織しているのが、東京都写真美術館であるため、同館の所蔵品が多いが、もちろん各道県の博物館などから借用したものも多い。中でも、函館の図書館・博物館の貢献度は圧倒的で、それなしではたぶん展覧会が成立していない。
 道立5館の中では、写真は釧路芸術館の管掌になっているのだが、この時期の写真については、函館美術館が巡回先に選ばれることがほとんど(「寫眞渡来のころ」など)なのもうなずける。

 もちろん、「美術作品」として撮影されたものではなく、「資料」なのだが、それだけにいっそう、ある種の「生々しさ」のようなものが立ち上がってくるように感じられる。

 モノクロの小さな画面を見ていて思うのは、ここに確かに人が写っているのに、その人はすでに死んでいるということ。
 シャッター(かレリーズ)を押した人もこの世にすでにいないということ。
 こうして印画紙に定着されているからには、その人が生きていたことについては疑いようのない史実であるにもかかわらず、現在この世には、その人自身はもちろん、その人の記憶を持っている人もすでに生きていない。
 こうして写真を見ている自分には、写っている人の名前しか、いや、時と場合によっては名前すらも、わからないのだ。
 そういうとき、この被写体の、「生」の確かさがなにか宙吊りになっているような、居心地の悪さをかすかに発しているように思われてくる。

 おそらく、どんなに写実的な絵でも、写真に比べると「即物性」を喪失しているので、いま述べたようなもどかしさは感じないだろう。

 あとは風景。
 平岸村(現札幌市豊平区平岸)を撮った1枚は有名だが、あまりに現在と違いすぎて、言葉を失う。
 違いすぎるといえば、函館も大きく変貌している。ただ、函館山の稜線だけが、現在と変わらないのだ。


2013年3月5日 (火) ~ 5月6日 (月)午前10時~午後6時(木、金曜は~午後8時)※入館は30分前まで
毎週月曜日休み(休館日が祝日・振替休日の場合はその翌日) ※4月30日(火)は臨時開館

東京都写真美術館(目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内)
料金:一般 500円/学生 400円/中高生・65歳以上 250円
*トワイライト割引とか、三つまとめて見ると安くなるとか、いろいろあるようです。


2013年5月18日(土)~7月14日(日)
道立函館美術館

一般800(600)円、高大生500(400)円、小中生200(100)円  ※()内は団体割引料金


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2 コメント

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Unknown (asano)
2013-07-11 09:00:14
東京も函館も微妙に日程が合わなくて見に行けないのが残念です!
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Re:Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット別館)
2013-07-11 10:34:32
あさのさん、こんにちは。
それは残念。ただ、あさのさんが、見たことのある写真が多いと思いますよ。
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