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■山下かさね展 (2018年10月26~29日、札幌)

2018年11月01日 21時45分07秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 2016年11月、札幌時計台ギャラリーで開いて以来、通算5度目の個展。

 期間はわずか4日間。
 案内はがきは市内ギャラリーなどに全くといっていいほど置かれず(つくっていないのかもしれない)、会場には略歴や自己紹介などはない。プライスリストすら置かれていない。
 インターネット検索すると、どうやら北大黒百合会のOBらしいということは分かるのだが、あとは本人についての手がかりはほとんどない。
 個展会場には、作品さえあれば良いのかもしれない。

 めずらしく、会場のブログに作品の画像が一部アップされている。
 しかし、ネット画像でこの作者の真価が分かるかといえば、かなり心もとない。
 山下さんの絵は「リアル」なのだが、いわゆる「写真みたいな絵」とは似ても似つかない。
 水彩画特有のぼかしやにじみを活用することなく、色彩はごく平坦に、丁寧に塗られている。室内にいる、身近な人物の絵がいつも出品されているが、陰影はほとんど描かれない。
 風景は、時としてパノラマ的だが、実際にある風景とは思われない。かといって、いかにも想像上の風景でもない。子細に見れば見るほど、現実との差異が気になってくる。

 たとえば「コタンベツの丘から」。
 山並みの手前に、細い道と川が絡まり合いながら走るのは、衛星写真などでよく見かけるが、その手前のすり鉢状の地形はいったいなんだろう。唐突にスタジアムが現れたようだ。
 画面全体は、雪景色を思わせるモノトーンで統一されている。

 「渡島の緑の島」は、題を見ると、函館に実在する人工島のようだが、どうも実際の函館湾と函館山の景色とは微妙に違っているようだ。横たわる山容の中腹には雪のような白いものが見え、人工島の入り口にはヨットの帆柱が林立する。それと対応するように、あちこちに建設中のクレーンが見える。岸辺の建物も、妙に現実的でない。
 これは、いったいどこの風景なのだろう。

 「ポピュラス」は、ポプラの木6本が横一列に並んでいるのが目を引き、おそらく題もそれに由来するのだろう。
 白いカーテンをねじったような雲の形がおもしろく、よく目をこらすと、ポプラの木の根元に横たわっているのは、巨人ガリバーのようだ。こういうデザインの遊具が実在するのだろうか。

 「レオパレスの窓」など、人物が登場する絵は、もう少し現実的に感じられるが、窓の外に目をやると、とてもレオパレスが立地している都会にはなさそうな、ひなびた駅の跨線橋が見える。

 ほかの作品は次の通り。
宮崎家の三姉妹
都通り周辺 
屯田通りのマリ
aikoさん

 ほかに、ナナカマドを描いた、題のない絵が1点あった。

 このまま「不思議な画家」ということでいってほしいような気がしている。


2018年10月26日(金)〜10月29日(月)午前11時~午後6時
カフェ+ギャラリー・オマージュ(中央区南1西5 プレジデント松井ビル100)


山下かさね水彩展 (2015)
山下かさね展 (2008)


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