台湾ワン!(Taiwan One!)

台湾にまつわる様々な話、中国語教室の出来事、日々の生活...

NHK土曜ドラマ「路~台湾エクスプレス~」を見て

2020年06月04日 | 日々の日記帳

【画像:NHK土曜ドラマ「~台湾エクスプレス~」公式サイトより】

NHK土曜ドラマ「~台湾エクスプレス~」を見た。しかし、感動するつもりで視聴したのに、その感動がほとんど湧いて来ず、逆にモヤモヤが止まらない。

3話とも録画ではなく本放送で見たのに、まるで早回しして見たかのように、いろんなものを見落とした感がある。あれもこれも情報を載せようとしたのが裏目に出て、結局すべての描写が中途半端に終わり、消化不良で物足りさな満載の作品になってしまった。NHKだからもっとしっかりした制作を期待したが、今回はかなりガッカリだ。自分が台湾のことをいろいろ知りすぎたからかな?

ドラマで描きたいのは、台湾高鉄の開通までの紆余曲折、ヒロイン春香と台湾青年人豪の恋の行方、そして台湾の魅力、などの3つの側面だと思って見てた。

しかし、台湾高鉄の紆余曲折の描写で、印象に残ったのは、多国籍のメンバーが喧嘩ばかりしているところだけ。高鉄の抱えた問題はいろいろあったはずなのに、開通時期の度々の延期以外に、ほとんどなにも伝わってこない。第3話の運命を決める1か月の試運転を無事にクリアしてみんなでハッピーエンドの握手だけはわかりやすかった。でもそれまでのいきさつがほとんど分からないじゃだめでしょう...。

劇中でたびたび外国人と英語でやりあう安西役の井浦新は、アーティストとしては嫌いではないし、顔もまあまあタイプだが、英語を話すときに、なぜあんなに大げさな身振り手振りになっちゃうの?もう、気になっちゃって集中できない。それから、ホステスのユキと田舎町で再会したときだ。なぜあんなに感極まって泣き崩す必要があるの?あっけにとられるばかりで、まったくもって解せないのだ。彼の心の中で、いったいなにがあったの?

台湾に魅了され、大仕事をなし遂げた春香は、昇進を断り台湾に残ることを決意した。が、劇中で描写された内容(食堂のおかみさん、仲の良い台湾人女性の同僚、その同僚の実家で過ごしたひと時、あとなにがあったっけ?)くらいでは、台湾の魅力を語るのに、全然物足りないつーの。ま、台湾人だから、変なバイアスがかかった可能性がある。そこは一般的な日本人視聴者の意見を聞きたい。

劇中に度々台湾での食事シーンがでてくるが、第3話で春香が日本から会いにきた婚約者と険悪ムードでの食事シーンで、おかみさんは何度も「タコの口、タコの口」と言ってた。どんな料理かなと待ったのに、一度も映らなかったじゃないかヨ!待ってた私がバカでした。あれ?みんな知りたくないの?

謎めいた台湾人ひげ男は、突然に降りると言い出して、その後説得されて復帰したが、いったい彼の葛藤はなんだったの?そこをやらないと、台湾高鉄内部の不調和、つまり開通にかかわる肝心な問題点は視聴者に伝わらないんじゃないの?それなのに、あっけなく折れて復帰かいな。あまりにも無責任だわ、番組制作側は。

第3話で、高鉄開通後、人豪がスーツケースを引いて高鉄板橋駅に姿を現して、春香に出くわすが、あのスーツケースのキャスターは4輪か8輪じゃないかな。だけど、13年も前の高鉄開通の2007年頃って、すでにあんなスーツケースが発明されたっけ?

意外な発見もあった。葉山の台湾人友人中野役の楊烈というベテランの俳優は、日本語のしゃべり方が実に穏やかで、そしてうまい。日本語ができるんだってこのドラマではじめて知った。熟達な演技もあって、本当に日本統治時代の台湾人になり切ってる。さすがだわ。ドラマの中のシーンを思い出すと、いまでも目頭が熱くなる。で、実年齢67歳ということは、すでに日本語教育世代ではない。ということは、きっと上の世代の影響で日本語を習得したのでは?wikipediaによると、配偶者がなんと日本人の方。これも知らなかったな。

最後に、もしこのドラマの良いところは?と聞かれたら、放送後もたびたび思い出される素敵なピアノ音楽と、格好良い炎亞綸(アーロン)の寂しげなまなざし、ぐらいかな?

以上、独断と偏見に基づいたにわかドラマ評論家による無責任評論でした。異なる見方をお持ちの方は、どうかご覧のあとムカつかないことを心から祈ります。


台湾華語・台湾中国語は任せて!台湾人による中国語教室・翻訳・通訳サービス T-Chinese
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする