気なしに携帯アプリの新作をチェックしたら、良いものを発見した。国立研究開発法人の情報通信研究機構(NICT)が開発した翻訳アプリ「Voice Tra(ボイストラ)」である。東京オリンピック2020にも採用が決定したらしい。
VoiceTra
使ってみた感想。
■使える点
1.入力が完了するとすぐに対訳文が読み上げられ、時間差をあまり感じない。
2.使用言語の切り替えが楽ちん。左側の「ここを長押しで言語変更」を押すと設定できる。
3.再翻訳機能があり、入力した文章と見比べることで訳文の精度が測れる。
4.男声・女声の選択が可能。「その他」→「設定」→「自分の言語」「相手の言語」で選択。
5.音声入力以外にテキスト入力もできる。音声入力は早くて楽だが、うまく読み取れない場合はテキスト画面からも入力できる。
6.量詞を探しやすい。例:「この山」→「這座山」、「この学校」→「這所學校」のように、訳せば出てくる。
■残念な点
(下記の「繁体字」は台湾華語を指す。香港で使用される繁体字はこの限りではない)
1.漢字について
①簡体字版・繁体字版の区別はあるが、字体の変換にとどまり、表現自体が変わるわけではない。
例:「タクシーを呼んでください」→「(簡)请帮我叫
出租车」「(繁)請幫我叫
出租車」。繁体字版のほうが「計程車」になるわけではない。
②字が正しく変換されない場合がある。
例:「髪を切りたい」→「(繁)我想剪頭
發」と訳される。正しくは「我想剪頭
髮」。繁体字の「發」と「髮」は完全に別々の字であって、簡体字では「发」(「發」の草書体をかたどったもの)の一字に集約される。それが反映されない。
2.音声について
①音源は、簡体字版と繁体字版はともに簡体字版が基準であり、両者の差が反映されない。
例:「嫉妬」の「嫉」は両方とも「jí」と発音されるが、実際「jí」は簡体字版に限ったもので、繁体字版は「jì」であるべき。
②多音字の音声チョイスが間違っている場合がある。
例:「私はちょっと疲れている」→「我有點累」。「累」は「lěi」と発音されるが、本来は「lèi」であるべき。「累」は「疲労」の意味の「lèi」と「累積」の意味の「lěi」の2種類あって、それが反映されない。
③中国語訳はピンインが表示されないので、発音は別に調べる必要がある。
まだ改善の余地があるアプリだが、Googleより精度が高いように思う。今後どんどん進化していくだろう。ツールの一つとして活用しながらも頼りすぎないようにし、中国語に精進しましょう。
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