『ラーメン大好き小泉さん』1巻 (鳴見なる 先生)
「至福の一杯を貪るという青春! スープをノドに流し込む歓び!」 (オビ文より)
女子高生・小泉さんが、様々なラーメンを食べる物語。
彼女に興味津々で、仲良くなりたいクラスメイトの大澤悠さんを横に、
ただひたすら、ひとりでラーメンを食べまくる「ラーメングラフィティ」であります。
「まんがライフSTORIA」にて連載中!
【主人公:小泉さん】
孤高の転校生・小泉さん。
ラーメン店の前に並んでいる小泉さん、女子ひとりだろうと気にする様子もなし。
そこで、クラスメイト・大澤悠さんに話しかけられてますが、
「つるんで食べるものじゃない」なんて、そっけない態度。
このように、小泉さんという人は、女子1人でラーメンを食べることも気にせず、
進んで誰かと仲良くなろうとするわけでもない、孤高の女子高生だとわかります。
本作は、そんな彼女がラーメンを食べる姿を、豪快に、しとやかに、
様々な角度から描いてゆく物語になっています。
ラーメンを豪快にかきこむ小泉さん!
いつもクールな彼女ですが、ラーメンを食べるときは、本気の姿を見せつけます。
超大盛りのラーメンを、餓えた獣の目で見つめるや、ガツガツ音を立てて食べ始め、
貪欲に、動きを止めることなく、ひたすら食べる! 食べる! 食べる!
バリエーションに富んだ数々のラーメンが美味しそう、なんてことは当たり前として、
くわえて、小泉さんの食べ方が豪快で爽快なことで、「快」を感じさせてくれるのが、魅力!
たまには、おしとやかに・・・
ただ豪快に食べればよい、というものでもなく、
時には水着姿で、カップ麺をちゅるっと食す姿も、なかなか乙!
このように、ラーメンの種類だけでなく、小泉さんの「食べ方」というのも、
注目すべきポイントになっていますね・・・ むしろ、彼女の可愛さを堪能すべき所かも。
豪快、おしとやか、いずれにせよ、いかにも美味しそうにラーメンを食べる小泉さんの姿に、
読者側も食欲を刺激されてしまうあたりが、大きな読み応えになっているわけです。
食べ終わった後の恍惚。
もう1つの見所としては、小泉さんの食べ終わりの表情があります。
いかにラーメンが美味しかったか、彼女の表情が全てを語ってくれますね。
そして、その無防備さが、どことなくエロチックな雰囲気を醸し出すのにも、目を奪われたり。
この小泉さん(に限らずですが)のシメの表情が、一気に解放感と達成感をもたらす所も、
大きな魅力になっていると言えるでしょう。
【大澤さんという“聞き役”】
小泉さんと仲良くなりたい、クラスメイトの大澤さん。
何度も小泉さんに話しかけるものの、逃げられたりと、つれない態度をとられてばかり。
それでも、めげずに親交を深めようとするあたり、なかなか陽気なキャラクターで、
クールな小泉さんとは違って、作品に明るさをもたらしてくれている印象。
そうした特徴をもつと思われる大澤さんですが、それ以外にも重要な役回りが・・・
それは、“聞き役”としての小泉さんの相手役。
小泉さんの語るラーメンうんちくも、本作の面白味の1つとなっているのですが、
そこでラーメン知識のほとんどない大澤さんは、話の“聞き役”として機能することに。
これにより、大半の読者は大澤さんと同じ目線で、小泉さんのうんちくを聞くことのできる
効果が発揮されるわけですね。
そんな大澤さんと小泉さんとの関わりも、本作の見所でしょう。
ラーメンを食べるという行為そのものは、孤独であり1人で完結しているのですが、
そうした行動をとる小泉さんに積極的にからんでゆくことで、
決して作品が寂しくならないあたり、大きな救いになっている気がします。
また、大澤さんの友人・美沙&潤さんも、それぞれ小泉さんに関わるのは面白かったです。
などなど、美味しいラーメンを求める孤高のラーメン大好き女子高生・小泉さんの物語。
作中登場する様々なラーメンの中に、自分が思わず食べたくなるものが見つけられるかも。
ラーメンを美味しそうと感じるもよし、ラーメンうんちくに耳を傾けるもよし、
女子高生たちの食べっぷりを堪能するもよし、彼女たちの交流を楽しむのもよし、
といった面白味の数々が詰め込まれた本作品、今後に期待です!