能『朝長』の後シテの面は伝書には
「中将」と書かれています。
16歳の朝長に大人顔の「中将」は不似合いですが、これは『朝長』と言う曲目を大事に扱う、位の高さからの配慮だと思われます。
16歳ですから、そのものズバリ「十六」を使用するのが理にかなうのですが、どうも「十六」では『朝長』と言う曲目には荷が重いように思われます。
今回は「中将」や「十六」ではなく、「今若」を使用することにしました。
少 . . . 本文を読む
数は1の次は2 その次は3
そして4と続きます。
アントニオ猪木氏は3の次は
ダァー!
「1 2 3 ダァー!」
と、吠えて気合いを入れます。
さて、能『朝長』は
3 1 2 4 の、順番で謡を覚えています。
脇「これも(三)世の御値遇」
シテ「妾も(一)樹の陰の宿り」
「今これとても(二)世の縁の」
そして地謡「死(四)の縁の」
と、朝長は3→1→2→4 です。
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能『朝長』は、16歳の若さで亡くなった源朝長を僧(脇)が観音懺法を読経し弔います。
が、しかし実は平安末期に観音懺法は、まだ存在していませんでした。
作者の観世十郎元雅が、当時流行っていた観音懺法を取り入れる事で、観客に親近感を持たせる、その効果を狙ったもの、と推察出来ます。
今ならば、最近流行っているラップを取り入れたような・・・
そんな感覚ではないでしょうか?
能は虚構の世界です。
「そんな . . . 本文を読む
お知らせとお願い
粟谷能の会では新型コロナウイルス感染症につきまして、引き続き政府等関係機関から最新情報の収集に努めるとともに、感染予防、拡散防止に細心の注意を払い、以下の対応策を講じた上で、現時点では公演する予定でございます。
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●「こまめな手洗い」のご協力をお願い致します。各洗面所の液 . . . 本文を読む
野球の野村克也氏が84歳で亡くなった。
先日の小鼓の横山晴明先生も84歳、父菊生も数え年で84歳であちらに逝ってしまった。
84歳・・・私 64歳
野村克也氏の選手時代も監督時代の活躍を知っている、と言う人は大半が還暦以上だろう。
今、訃報のニュースを見て、自分でまとめた野村ノートを読み返している。
仕事が楽しみならば人生は楽園
義務なら地獄だ
名言だ!
そして、これがいい!
人間の最大 . . . 本文を読む
大学時代、山登り(縦走)のクラブに入っていた。
重いキスリング(ザック)やバックパックを背負って山歩きをしていたが、登りより下りの方が辛い時があった。
膝に負担がかかり過ぎ、膝を痛めると下山出来なくなるから、膝と足首には特に注意して歩いていた。
能『朝長』の源朝長は敵の放った矢が膝を射抜いたのだから、さぞかし痛かっただろう。
「もう歩けない!」
と、泣き叫んでいたかもしれない16歳の朝 . . . 本文を読む
能『朝長』の脇は、福王流は御傳(おんめのと=朝長の養育係)と名乗りますが、今回お勤めいただきます下掛宝生流の森 常好氏は、御乳母子(おんめのとご=お守り役の子)と名乗られます。
養育係と養育係の子、では朝長との関係が微妙に違ってきます。
後者の方が、
「昔一緒に暮らし遊んだ朝長が・・・」
と、より悲しみが深くなるのではないでしょうか。
能は通常、通りすがりの僧が、死後苦しんでいる霊が仮の姿でこの . . . 本文を読む
能『朝長』は、嵯峨清涼寺の僧(脇)が朝長を弔うために、美濃国・青墓に向かう、と名乗るところから始まります。
僧達は勢田の長橋、鏡山、老蘇の森 、伊吹山、不破の関を通り青墓の宿に到着します。
舞台は最初は京都ですが、3.4分の謡で場所は美濃国青墓、朝長のお墓の前と変わります。
今、新幹線「のぞみ」で、京都から岐阜県大垣市まで移動するより、はるかに早いです(笑)
そこに、青墓の長者(前シテ)が現れ . . . 本文を読む
能『朝長』の前シテは美濃国青墓の長者で、名前は大炊延寿です。朝長の父・源義朝とは、深い関係があったように思われます。
義朝一行は清盛軍に敗れ、長者を頼みに尋ね、一夜を明かしますが、その夜事件は起こります。
義朝一行が京都・大原から滋賀の堅田へ向かう途中、朝長は比叡山の横川法師の放つ矢が左膝を射抜き動けなくなり、どうにか馬に乗せられて青墓まで落ち延びます。
能では
「もうこれ以上周りに迷惑はかけら . . . 本文を読む
「粟谷明生の能楽教室・第9期『湯谷』コース」は4回のお稽古が無事に終わり、参加された皆様には恒例の修了証をお渡しいたしました。
さて次回は2/25(火)より始まります。
当初『七騎落』を予定しておりましたが、初心者の方が3人様ご参加となるため、急遽『船弁慶』に変更して開講いたします。
ご参加ご希望の方は下記よりお申し込みをお願い申し上げます。
粟谷明生事務所
noh@awaya . . . 本文を読む
3月1日(日) 国立能楽堂にて『朝長(ともなが)』を勤めますので、演能にあたり曲目のご紹介と演能への思いなどをご案内いたします。
まず「朝長って誰?」
朝長は源氏の武将・源義朝(よしとも)の次男で16歳で亡くなります。
義朝親子は平治の乱にて平清盛と戦い敗北して、都落ちします。
能では、義朝の長男・悪源太義平は平家方に生け捕られて斬首され、三男の頼朝は弥平兵衛に都に送られた、と史実通りに謡いま . . . 本文を読む
松任谷由実さんが荒井由実という名前で歌っていた「ひこうき雲」を、レコード盤に針を下ろして聴いていた・・・
と、書くと忽ち歳がバレてしまいますね
近年、ユーミンの名曲の数々を多くの歌手がカバーして歌われています。
勿論 本家本元も良いのですが、それを超えるほど良いカバー曲があるのに驚いています。
昔はカバーを「所詮、真似っこ」と、小馬鹿にしていましたが、今は前言取り消しです。カバーの素晴らしさを楽 . . . 本文を読む