能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
能の世界も個人の生活もご紹介しています!

持論

2014-04-30 14:56:49 | 言いたいこと・伝えたいこと 
NHK・Eテレ「古典芸能への招待・道成寺」のインタビューで能の技芸をフィギュアスケートの技術点と芸術点の採点に例えてお話ししたが、もう少し突っ込んでご紹介したい。 能の技芸の習得についてかねがね持論がある。間違っていると言われるかもしれないが、自分では信じて止まない。 習道は、初めに基礎を学び、次に応用となる。あたりまえ、シンプル過ぎ、簡単過ぎて、拍子抜けされたかもしれないが、間違っていないは . . . 本文を読む

「古典芸能への招待・道成寺」NHK・Eテレで放送されました。

2014-04-28 08:22:08 | 粟谷明生の日常
「古典芸能への招待・道成寺」NHK・Eテレは、昨日放送されました。 フェイスブックやメール、そしてLINEでもご感想を頂戴して、たいへん有り難く思っています。 実は、まだ見ていないのです、たぶん今夜には見れると思うのですが・・・ (日経新聞 広島版 26年4月27日テレビ番組欄) 来年の喜多流自主公演の番組が発表されました! な、なんと私、1月4日(日)初会で『玉井(たまのい)』を勤めること . . . 本文を読む

26年度、東北大能楽部の新入生は4名

2014-04-27 06:28:13 | 能が好きな学生たちと
昨日は、仙台に日帰りで社中の稽古をして参りました。ゴールデンウイーク中にもかかわらず「東北大学・能楽部」の部員は6名が稽古に参加、現在の新入部員数を聞くと4名(男子3名女子1名)とのこと。その内男子2名が初稽古を受けられました。写真は稽古後の記念撮影です。 今年は大阪大学喜多会が6名、東北大能楽部が4名と、能を学んで下さる学生さんが増えて10名にもなり、素直に喜んでいます。 さて、本日は喜多流 . . . 本文を読む

舞台と演者の動き

2014-04-26 07:54:39 | 能はこうなの、と明生風に能の紹介
「撥転がし」とは太鼓方の撥を橋掛りに置くと、揚げ幕の方向に転がりはじめることをいう。つまり、橋掛りは坂になっているのだ。太鼓方が座る本舞台後座より揚げ幕の方が低くなっている。 喜多能楽堂や国立能楽堂では、この勾配はさほど感じないが、杉並区にある、山本東次郎先生が管理されている「杉並能楽堂」はこの勾配がきつく、シテはひいひい言いながら登る感覚で舞台を目指す。うそではない、それほど急である。また、松 . . . 本文を読む

おもて工房幻 第6回能面展

2014-04-25 06:59:52 | 粟谷明生の日常
面打師・石原良子氏の主宰する「おもて工房・幻」の能面展は4月28日から5月3日まで東京銀座の文藝春秋画廊ザ・セラーで開催されます。 先日の厳島神社神能で奉納した能『弱法師』で使用した面「弱法師」は実は石原氏が以前に神社に寄贈されたものでした。 今回は第6回です。出品者の皆様、回数を重ねるごとにご上達されて、出展作品の中には実際に玄人の舞台で使用されたものもあるほど優れた作品が多い展示会 . . . 本文を読む

酒田から

2014-04-24 05:35:17 | 粟谷明生の日常
酒田市は山形県の日本海に面したところ。この土地に稽古に伺って、もうかれこれ30数年が経ってしまった。 お稽古のあと、地元の肴で一杯が楽しいひとときだが、最近の懇親会は居酒屋「兵六玉」がお決まりのコースとなっている。現在、男子会員は10名だが、常時3~4名が参加して、いろいろな話題で楽しくおしゃべりして飲み食いしている。昨日は新人の森祐二郎さん(27歳)が入会されたので、歓迎会も兼ねて4名で盛り上が . . . 本文を読む

りんごに例えて

2014-04-22 09:24:22 | 言いたいこと・伝えたいこと 
りんごを丸かじりしたら歯茎から血が出た、歯槽膿漏かと心配した。 歯茎が弱ったのか、りんごが堅かったのか、実はこれ10代の頃の話、もう40年も前のこと。今、歯茎は一応元気だが、りんごの丸かじりをする気にはなれない。これをトラウマと言うのだろうか? 昔は、「身体によいから皮から丸ごと食べなさい」と母親から言われたが、最近の世の中の空気、土壌汚染などを考えると、果物の皮を食べることをあまり薦めない風潮 . . . 本文を読む

神能3日目を撮影

2014-04-19 08:01:16 | 能はこうなの、と明生風に能の紹介
ド素人の撮影した写真ですが、厳島神社神能の舞台や楽屋裏をご紹介します。 3日目、今日も頑張る従兄弟、能夫。 朝から潮が満ちてきます 初番『西王母』の地謡に参加して下さった社中の皆様 『経政』シテ友枝雄人の出 地謡の後列 昼食のお弁当、左のポテトサラダは差し入れ、これがとても美味しいです。 『弱法師』の装束は白色の箔は小さく使用出来ず、小格子熨斗目にしました。 『弱 . . . 本文を読む

神能 楽屋裏から

2014-04-18 02:47:44 | マジメ能楽 楽屋表話
26年厳島神社桃花祭神能の初日の様子を楽屋裏から撮影しました。 ご覧下さい。 朝9時からはじまる神能、8時頃潮が満ち始めます 初日と二日目は『翁』がありますが、演者全員御神酒をいただいて勤めます。 御神酒をいただくとお調べ(チューニング)がはじまります。 尉髪を結うところをご紹介します・ 髪が上に抜けないように両手で耳のあたりを前の人が持っています。 後ろで髪を絞り束ねま . . . 本文を読む

厳島神社能舞台について

2014-04-15 16:47:11 | 能はこうなの、と明生風に能の紹介
日本三景の一つ、広島県宮島にある厳島神社には海に浮かぶ能舞台がある。毎年、4月16日から18日の三日間、桃花祭神能として能が奉納される。 シテ方の出演者は玄人もいれば素人もいるが、全日無料で鑑賞出来る。以前は素人のシテ方の奉納が多く玄人衆はその恩恵を受けていたが、近年はその数が少なくなり玄人が多く勤めるようになった。ご覧になる方はお得かもしれないが、このままでは経済的にも困難になるかもしれない。 . . . 本文を読む

『弱法師』を勤めるにあたって、杖の扱い

2014-04-14 10:14:37 | 能はこうなの、と明生風に能の紹介
昔の話だ。母が私をウオルトディズニーの映画「101匹わんちゃん」に連れて行くように父に頼んだ。父は私を連れて映画館に行ったが、そこは長蛇の列。父はすぐに「これは、だめだ」と諦め「明生、これにしよう」と違う映画のチケットを買った。私はその映画の題名が読めず、なにも判らずに映画を観た。話の内容が判らないところもあったが、刀を振り回す素早さと白目をむき出して薄気味悪いオジサンの顔が妙に強烈に残った。 今 . . . 本文を読む

二世、家の子、世襲について

2014-04-12 06:55:25 | 言いたいこと・伝えたいこと 
粟谷家は明治の粟谷新三郎からはじまり、その孫の益二郎が4人の子、長男・新太郎(息子・能夫)、次男・菊生(息子・明生)、三男・辰三(浩之)、四男・幸雄(充雄)と四家に一人ずつ家を嗣いで来た。将来を考えると、浩之の子、僚太一人となってしまい、粟谷家の存亡については安心出来ない状況であるが、世阿弥の「嗣ぐをもって家とす」を信じ、家の子でない者も喜多流の能楽師になることを期待している。実際にこの能の世界に . . . 本文を読む

「お好み」を見つけるには?

2014-04-11 07:48:12 | 言いたいこと・伝えたいこと 
洋服を買う時、まずどのようなタイプのものが欲しいのかを考え、お店に出向く。以前は考えずに店に出かけたので、買わなくてもよいものまで買ってしまうことがあり、今は反省して衝動買いは控えるようにしている。 60歳近いチョイ悪オヤジが、そこそこに流行りに乗れて、しかもそこそこ似合うものが着たい、そう思っている。しかしなかなか、そこそこに似合うものを見つけるのはむずかしい。そこで店員さんのお力を借りる、お . . . 本文を読む

『道成寺』談議 

2014-04-10 07:27:49 | マジメ能楽 楽屋表話
先日の第95回粟谷能の会(3月2日)『道成寺』にご出演いただきました、ワキ・森常好氏、小鼓・大倉源次郎氏、大鼓・亀井広忠氏の三名の方々と、中目黒の和食「いふう」で、演能をふり返りながら反省座談会をしました。アイの野村萬斎氏は二次会からのご参加でしたので、ここにはいらっしゃいませんでした。萬斎ファンの皆様、ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。 談話を粟谷能の会ホームページに記載更新しました。 . . . 本文を読む

父の謡+α=粟谷明生の謡

2014-04-09 07:27:42 | 能はこうなの、と明生風に能の紹介
「喜多流の謡とは?の質問に答えて」の続きである。 私は父から謡も型も「真似ろ」と教えられた。なんでもいい、良いと思ったものは真似して自分のものにする。今でもそう信じている。だから私の謡はいろいろな方の真似で出来上がっている。そう混合流かもしれない。それほどミックスされているが、まだ固まっていないのが自分でも残念な限りだ。 一時期「父のように謡えれば…」と一心に真似たいと思ったが、所詮DNAが同 . . . 本文を読む