『求塚』の後シテは「痩女」を付けて「塚=菟名日処女の墓」の作り物の中から静かなる一声の出囃子を聞いて、その後に
「古の小竹田男の音に泣きし、菟名日処女のおき塚はこれ」
と静かに幽かな声で謡い出し、続いて
「おお、曠野人稀なり、我が古墳ならで又何者ぞ」
と力をこめて謡う。
近年復曲した観世流は太鼓が入る出端となり、謡い出しは「おお、曠野人稀なり」からとなり、喜多流とは違う。
「能の鑑賞 . . . 本文を読む
ふとテレビのチャンネルをまわすと「戦場のピアニスト」が放映されていたので、吸い込まれるように観てしまった。
この映画、戦争が起こす様々な悲劇を描き、心に残る作品だが、なんとも後味が悪い。
戦争映画で後味の悪さは付き物なのかもしれない。
なんともスカッと気持ちが晴れないが、戦争をテーマにしてスカッとする方がおかしいのだろう。でもランボーは好きで、あの手の単純な方が私には合っているのかもしれない . . . 本文を読む
「能の鑑賞講座」(三宅譲 著)の『求塚』に貴重なことが書かれていた。
『求塚』前シテは「小面」だが、三代宗家・喜多宗能は「増女」でも、と。
菟名日処女はかわいい乙女のイメージではあるが、少し艶ある人であってもいいのでは、それなりの格式ある女ではないか、と思う。
謡本には前場のシテを単に里女として紹介しているが、私は紛れもなく、菟名日処女の霊の気持ちで演じている。同行のツレは菟名日処女に仕える . . . 本文を読む
『求塚』の登場人物の名前が気になる、おかしい。
シテの美しい女の名は菟名日処女(うないおとめ)。
処女でも乙女でもいいが、要するに未婚の女の意なので、名は菟名日(うない)ちゃんということになる。
男の方は、小竹田男(ささだおのこ)と血沼益荒男(ちぬのますらお)。
これも、小竹田という所の男、血沼という場所に住む益荒(ますら=男性的で立派)な男という意味だろう。
今のように姓があり名がある訳で . . . 本文を読む
演者からのサービス
「能に予めの説明、種明かしはない方がいい。賢いお客様がご覧になるんだ。我々は想像しやすいように勤めればいい…」、父の晩年の言葉だ。
今年は父の七回忌。父が亡くなってから丸六年が経つ。父の死は私のライフスタイルを一変させた。そして父からいろいろ教わったことが、最近じんわり身に染みる。
今、能をご覧になる方のご意見をお聞きすると、
適度な事前の説明ぐらいのサービスはあっていい、 . . . 本文を読む
三田の慶應義塾大学にて文学部オムニバス講座「前衛と伝統」で能のお話をさせていただきます。
本日下見と打ち合わせを兼ねて教室も拝見させていただきました。
講座は粟谷能の会「能鑑賞講座」と同様に女優・金子あいとの対談形式となります。
当日の会場、教室421号室です。
日本の古典伝統芸能の最たる「能」をわかりやすくお話出来ればと只今構想中です。
日時:9月25日10:45~12:15 . . . 本文を読む
新城薪能は、無事終了しました。
写真でご紹介します。
屋内での薪能は火は危険、ではどうするか?
上手くライティングの工夫で篝火に見えます。
この写真ではあまり上手く写っていませんが実際は本物のように見えます。
番組の最初は子どもたちの仕舞、と言っても左端の村田君は大学一年生、女子は小学生ですが、仕舞が終わって記念撮影
地元ケーブルテレビが装束附けを録画、その後方から撮影
ケーブルテレ . . . 本文を読む
本日は「新城薪能」に賛助出演します。
この薪能は、地元の素人能楽愛好家(新城能楽社)主体に三役まですべて素人という珍しい薪能です。
薪能とはいいながら、新城文化会館館内で催されますので天候は気になりません。
新城薪能発足時より、地謡は人数不足のため私たち玄人が応援して参りました。
演じるのは、みな素人さんです、頭に「ド」が付くほどです。
どのようなものなのか?
どのようになってしまうのか? . . . 本文を読む
粟谷能の会のホームページに粟谷能の会機関誌「阿吽」と高知公演の新聞記事を投稿更新いたしました。
ご覧いただければ、嬉しいです。
こちらからお入り下さい
今日はシンプルに、簡単に・・・・
手抜きじゃないですよ(笑)
. . . 本文を読む
24年夏の東北大能楽部の「能ボックス」での合宿も、無事最終を迎えました。
短い期間でしたが、部員一同、真摯に集中して稽古されて成果は充分発揮されました。
よく頑張りました、長足の進歩です。
9月9日(日)セルリアンタワーホテル能楽堂での発表会が待ち遠しいです。
昨日は、午後から納会です。着物を着て本番さながらに舞い、謡います。
では写真でご紹介します。
男子連吟
女子連吟
一年生 . . . 本文を読む
能ボックスでの夏合宿、二日目の模様です。
先ずは、ボイストレーニング。
朝から全員寝ていますが、これは身体をリラックスし、自分で自分の身体を意識するトレーニング。
午後から笛の槻宅聡先生が合流、早速実際にお笛を吹いて頂いて舞囃子『天鼓』を舞う部長の齋藤繁稀君です。
今回参加が少ない、男子ですが、連吟は『経政』を謡います。
二日目恒例の体験教室、能管と大鼓を槻宅 聡先生、佃 良太郎先生か . . . 本文を読む
24年東北大学能楽部の夏合宿は、仙台市内にある「能ボックス」で行われています。
若林区のイベント倉庫「ハトの家」の隣に小さな橋掛りを持つ能舞台があります。
本舞台は二軒半と少々狭いですが、学生さんのお稽古場としては充分、ここで二泊三日の短期間ですが夏合宿が行われます。全員集中して成果を上げたいと私も指導に熱が入ります。
今年の一年生は女子4名、男子2名です。残念ながら男子1名が参加出 . . . 本文を読む
鵜呑み、と言えば、能『鵜飼』を思い出す。
魚を呑み込む鵜の習性を利用して魚を獲る漁師の話だ。
鵜呑みは日本ではあまりよい意味で使われないが、私の若い時は「稽古とは、まず鵜呑みでいい、理屈などあとからでいい」と先生に教えられた。若い時の稽古は先生の教えを信じひたすら真似る、完全な鵜呑みでいいのかもしれない。
確かに30歳代までは鵜呑みでよかったとふり返る。
が、しかし40代になっても鵜呑み状態では . . . 本文を読む
サーフィン(波乗り)をしている夢を見た。
昔、一応自称能楽サーファー?と豪語したほど稽古そっちのけで海に出かけていた。
腕前は、オーバーヘッド(身長の頭を越える高さ)の波は危険と怖がる小心者サーファーだったが、それでも熱中時代があった。
サーフィンするには泳げなくてはいけない。サーフポイントは一般に遊泳禁止区域のため、それ相当に泳げないと危険だ。私もほどほどに泳ぎには自信があったのでサーフ . . . 本文を読む