3月3日(日)の「第106回 粟谷能の会」の『融』は、通常2時間近くの演能時間を下記の箇所などを省略して作品の内容を壊さずに短時間で勤めます。
省略箇所とその内容を記しましたので、ご覧になる前にご一読いただきますと、ご鑑賞のお役に立つと思いお知らせいたします。
① 前シテが登場し
「月もはや、出潮になりて塩竈の。うら寂びまさる、夕べかな」
と、謡いましたあと、サシコエ、下歌、上歌を省略いたします。
(省略部分の内容:今は秋も最中<中秋>、陸奥の名勝・千賀の塩釜を都に移した此の河原の院も、昔は都の最中<中心部>であったなあ。白髪となり老いてしまった私の衣の袖も秋となり寒く、海辺の秋は我が身の儚さを感じさせるなあ。)
② 初同(地謡の最初の謡)の最後は
「千賀の浦曲を眺めんや、千賀の浦曲を眺めん(昔の千賀の塩竈の海辺を眺めよう)」です。
この後のワキ謡、シテ語り、二同を省略いたします。
(省略部分の内容:千賀の塩竈を都の中に移された訳を聞かせてください。
はい、昔、嵯峨天皇の御代に源融が、陸奥の千賀の塩竈の眺望の素晴らしさを聞いて都で再現しました。難波の御津の浦より潮を汲み運ばせ、潮を焼く景色を見て楽しまれました。
ただ、融が亡くなった後は相続する者が無く荒れ果ててしまい、紀貫之が「君まさで煙絶えにし塩竈のうら寂しくも見え渡るかな」と詠んでいます。
私も老いの波ばかりが押し寄せて、昔のことが恋しく、昔に戻りたい、と願っても・・・。ああ悲しい事です。)
以上 上記を省略いたします。
 
☆粟谷能の会お申込み☆
粟谷明生事務所
noh@awaya-akio.com


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )



« 「第106回粟谷... 「第106回粟谷... »