能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
能の世界も個人の生活もご紹介しています!

能『朝長』のご紹介 その7

2020-02-29 12:50:44 | 能はこうなの、と明生風に能の紹介
能『朝長』の後シテの面は伝書には 「中将」と書かれています。 16歳の朝長に大人顔の「中将」は不似合いですが、これは『朝長』と言う曲目を大事に扱う、位の高さからの配慮だと思われます。 16歳ですから、そのものズバリ「十六」を使用するのが理にかなうのですが、どうも「十六」では『朝長』と言う曲目には荷が重いように思われます。 今回は「中将」や「十六」ではなく、「今若」を使用することにしました。 少 . . . 本文を読む

能『朝長』のご紹介 その6

2020-02-29 12:48:19 | 能はこうなの、と明生風に能の紹介
数は1の次は2 その次は3 そして4と続きます。 アントニオ猪木氏は3の次は ダァー! 「1 2 3 ダァー!」 と、吠えて気合いを入れます。 さて、能『朝長』は 3 1 2 4 の、順番で謡を覚えています。 脇「これも(三)世の御値遇」 シテ「妾も(一)樹の陰の宿り」 「今これとても(二)世の縁の」 そして地謡「死(四)の縁の」 と、朝長は3→1→2→4 です。 . . . 本文を読む

能『朝長』のご紹介 その5

2020-02-29 12:44:41 | マジメ能楽 楽屋表話
能『朝長』は、16歳の若さで亡くなった源朝長を僧(脇)が観音懺法を読経し弔います。  が、しかし実は平安末期に観音懺法は、まだ存在していませんでした。 作者の観世十郎元雅が、当時流行っていた観音懺法を取り入れる事で、観客に親近感を持たせる、その効果を狙ったもの、と推察出来ます。 今ならば、最近流行っているラップを取り入れたような・・・ そんな感覚ではないでしょうか? 能は虚構の世界です。 「そんな . . . 本文を読む