能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
能の世界も個人の生活もご紹介しています!

SCSミュージカル研究生対象 特別能楽体験教室

2014-11-30 23:55:41 | 粟谷明生の日常
ミュージシャンでもあり、SCSミュージカル研究所の代表でもいらっしゃいます廣瀬純様のご協力により研究生を対象にした「特別能楽体験教室」が昨日行われ、無事に終了いたしました。 では写真にてご紹介いたします。 お稽古場は仙台駅から徒歩10分です。 最初に自己紹介と模範演技として仕舞『八島』をご披露しました。 受講者は、小学1年生から60歳代の大人までと幅広い年齢層でしたが、全員一緒に扇の持 . . . 本文を読む

能『六浦』をご覧になる前に

2014-11-17 09:28:26 | 能はこうなの、と明生風に能の紹介
京浜急行逗子線に六浦駅があるが、これは「むつうら」と読み、能の『六浦』は「むつら」。 舞台となる称名寺は六浦駅の近くではなく、金沢文庫駅から歩いて行ける距離で、大きな池と橋がある美しいお寺だ。 さて、今週の11月23日(日)喜多流自主公演で能『六浦』を勤めるので、宣伝も兼ねて能のご紹介をしよう。 鎌倉時代のお話で、鎌倉の中納言為相卿(ためすけきょう)。 どのような人かと言うと・・・。 . . . 本文を読む

『敦盛』を演じるにあたって

2014-11-14 14:09:58 | 能はこうなの、と明生風に能の紹介
明日15日(土)、半能『敦盛』を津山文化センターにて勤めます。 半能『敦盛』のあらすじは、一ノ谷合戦で当時十六歳の平敦盛を討ち取った熊谷次郎直実は、あまりの痛ましさに無常を感じ出家し蓮生と名乗ります。 蓮生法師は敦盛の菩提を弔うため、再びかつての戦場一ノ谷を訪れます。蓮生法師が夜もすがら念仏を唱え敦盛の霊を弔っていると、武将姿の敦盛の霊が現れ、平家一門の栄枯盛衰を語り、討ち死の様を見せ、敵に巡 . . . 本文を読む

能『敦盛』をご覧になる方のために

2014-11-14 08:47:23 | 能はこうなの、と明生風に能の紹介
「さるほどに、如月六日の夜にもなりしかば、明日は最期の合戦たるべし、今宵ばかりの名残ぞと、親にて候、経盛我らを集め、今様を歌い舞い遊びしなり」 と敦盛は蓮生法師(熊谷直実)に語りかけます。 合戦前夜の陣中に管弦の遊興とはなんとも暢気な平家軍であります。しかし、当時の平家の公達たちにとって、これは至極当たり前の事だったのかもしれません。夜は呑んで歌って遊んで、と気が緩んで寝てしまったところに源氏 . . . 本文を読む

ちょっと自慢話を

2014-11-09 09:45:46 | 能はこうなの、と明生風に能の紹介
写真は熨斗目(のしめ)と呼ばれる男役が着る装束です。 熨斗目の色は紺色、鼠色、茶色といろいろありますが、柄は無地と段模様の二つで、段模様に格子模様が入ったものを「江戸段(えどだん)」と言います。「江戸段」は少し華やかになり格式が上がるように見えるので、喜多流ではシテに限り着用が許されています。『敦盛』『八島』『松虫』などのシテ連役では着せてもらえません。 「江戸段」は武家役に相応しいとも伝承 . . . 本文を読む

『六浦』を勤める前に

2014-11-06 08:12:59 | 能はこうなの、と明生風に能の紹介
11月23日(日)喜多流職分会にて『六浦』14時頃を勤めます。 錦秋の頃、都の僧が相模国に下り六浦の称名寺に立ち寄ると、一樹の楓だけが紅葉しないのを不審に思っていると女性が現れ、冷泉為相(ためすけ)の卿の歌に感激した楓が、それ以降紅葉するのをやめた旨を語り、その夜、再び現れて草木国土悉皆成仏の理を説き、舞をまう、という『六浦』はシンプルな内容の能です。 一首の歌を題材に草木の精を舞わせる趣向は . . . 本文を読む

「能楽体験教室」第五期生の最終回のご報告

2014-11-05 09:01:26 | 粟谷明生の日常
26年度の「粟谷明生の能楽体験教室」は無事第五期生のお稽古で終了いたしました。昨日までの体験教室参加者は35名で、その内お一人は本格的にお弟子様になられて、舞い、謡い、小鼓のお稽古をはじめられています。 来年27年度は課題曲を『高砂』に変更して、より多くの方々におめでたい席で謡い、舞えるようになっていただきたいと考えています。 生憎、第一期生の応募は締め切りとなりましたが、第二期は募集中ですの . . . 本文を読む

みちのく、仙台へ稽古

2014-11-04 00:28:10 | 能が好きな学生たちと
昨日は仙台にて、東北大能楽部と一般社会人の稽古に行って参りました。 東北大は現役学生が全員参加されて各自新しい仕舞と謡に挑んで行きます。 まずは、12月13日(日)の自演会に向けて、お稽古に励んでくれることと期待しています。 恒例の稽古終了後の記念撮影です。 文責   粟谷明生 写真撮影 小島 誠 . . . 本文を読む

「古典の日・品川能楽鑑賞会」にて、能『葵上』のご鑑賞に向けて

2014-11-01 09:50:45 | 能はこうなの、と明生風に能の紹介
能を初めてご覧になる方もいらっしゃるかと存じますので、少々ご案内をさせて頂きます。 舞台の裏手、鏡の間より囃子方のお調べ(チューニング)が聞こえてくると、「そろそろ能がはじまりますよ!」の合図です、お座席に着いてお待ち下さい。 能舞台に紋付袴姿のお囃子方と地謡が所定の場所に座わると、後見が小袖を舞台正面先に置き広げます。この小袖は能『葵上』では病に伏している光源氏の正妻・葵上という設定です。 最 . . . 本文を読む

能『葵上』をご覧になる方に 生霊とは

2014-11-01 04:47:28 | 能はこうなの、と明生風に能の紹介
霊には死んだ人間の死霊と、生きている人間の身体から本人が無意識のうちに魂が抜け出す生霊とがあります。 能『葵上』は六条御息所の生霊が、巫女の引く梓の弓の音に引かれ「梓の弓の末筈(うらはず)に立ち寄り憂きを語らん」と謡いながら弓の音を探します。 末筈とは弓の一番高いところで霊が取り憑くところです。御息所の生霊が末筈に取り憑くと、巫女は 「不思議やな誰とも知らぬ上臈の、破れ車に召されたるに、青女 . . . 本文を読む