散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

地方議会改革が遅々として進む理由~川崎市議会の場合

2013年06月10日 | 地方自治
筆者が世話人を務める市民団体、川崎市議会を語る会が提出した陳情、
『選挙の際の議会改革に関する各会派の「提案」を議会の課題として検討すること』が2月上旬の川崎市議会・議会運営委員会において「継続審査」となった。その審査の中で自民、公明、民主、みんなの各会派が「陳情の取り下げ要請」を主張したことを受け、それを含みに、正副委員長が陳情者に審議状況を説明することとなった。
会談は2/20、約1時間にわたり、審議状況の説明・質疑、意見交換の順に行い、お互いに考え方を理解する上で有意義であった。

趣旨採択の共産を除く、上記4会派の考え方は以下の2点になる。
1)「選挙時の公約」実現は各会派の責任、それぞれへ要望すれば良い
2)議会運営協議会を設置し、議会改革に取り組んでおり、見守って頂きたい
即ち、議会の専権事項に口出しせず、結果を待っていれば良い、との考え方だ。

これに対して当会は、
「議会改革は議会が積極的にまとめる責任がある」
「要望は任意の市民と特定の会派・議員との私的会話」
「請願・陳情は市民すべてがアクセス可能な公的活動
「その意義を議員が理解していないのは遺憾だ」との意見を表明した。

また、見守り論に対し、
「議会改革は遅々として進んでいるだけ」
「月1回のペースで良いのか?週1回の提案はどうした?」
「どこまで進めるのか、スケジュールも無い」
「本来議論すべき内容を決めるのは、議会としての意思の問題」
「市民の立場から厳しい検証をするのは当然」と攻勢を掛けた。

これに対して副委員長が、
「議論が滞っているのは認識」
「協議会に加速をお願いした処」
「厳しい意見は歓迎、但し、真剣な取組みを理解して欲しい」
「情報開示は様々取組んでいる」と説明。

当会は、
「努力をしていることを認め、更に進めることを提案」
「他の自治体議会よりも、先進的な情報開示の部分は評価」
「例えばHPに掲載された「審議内容の報告」「委員長報告」」
「真剣でも、具現化しなければ成果ではない」、と応じた。

陳情のタイミング対しては、
「選挙前(昨年1月)から当会の内部で議論し、行動を決めた」
「議会改革の内容をまとめ、公約に入れるように各会派へ要望」
「選挙後(昨年5月)、公約実現へ努力するように要望」
「要望の段階では内容を充分に説明、しかし、未だ実現されていない」
「市民から見えるのは議会の活動、会派の個々の行動ではない」
「以上にことから、公的な「陳情」という活動をとるに至った」

更に、議運委の全会一致制の弊害等も俎上に上げて、
「審議の経過が不明、公明党から多数決との意見が出た」
「形式的に継続審査にし、意思決定しないのはおかしい」と挑み、議論となった。

「議会運営に関しては、納得と合意で進めるのが伝統、全会一致を旨」
「そのような規則は例規集にはでていないが?」
「慣習を申し合せ、「手引」にまとめて運営している」
「ひとりでも反対がいれば、意思決定できない」
「多数決という議員もいるが、直ぐには変えられない」
「前回の会議はその影響で、取り下げ要請にねじ曲がった」
「意見はでたが、ここでは要請はしていない」
「少数会派の意見尊重は判るが、原則はおかしい」
まとめとして「長期的には議会が歪んだ状態、規則を直すことを要望」した。

最後に過去の例を示し、今回、取り下げはしないことを明言した。
「協議会の設置より9ヶ月程度早く、審議機関の設置を陳情」
「審査されずに協議会は設置、しかし、目的は果たした」
「従って、直ちに取り下げた」
「書かれている内容が実施されれば良い」
「本件も取り下げができるような環境になることを期待する」

“正副”にとって「継続審査」への道筋の儀式としての対話であったのだが、私たちには、多様な意見が統合・進化ではなく、「のっぺらぼう」になる過程が判るような、内幕を覗ける対話、でもあった…これは収穫なのだろうか?