散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

美辞麗句が飛び出す安倍スピーチ~内容に乏しい三本目の矢・成長戦略

2013年06月07日 | 経済
安倍首相は一昨日の『成長戦略第3弾スピーチ』において以下の様に語った。「金融・財政政策。…最初の二本の矢は、デフレという怪物を退治し、日本の自信を取り戻すための取組み」。語るに落ちたとは、このことであろう。

実質的な経済効果はなく、単なる心理作戦であったと告白している。しかし、黒田・異次元金融緩和は既に実施され、5月に入り、その心理作戦に乗じた投機筋が仕掛けた操作を起点として、株価の乱高下をもたらした。得意げに語るその映像からは、見事に仕掛けに嵌まったミセス・ワタナベの恨み節は耳に入っていないようだ。

最初の首相時代と同じく、坊ちゃんであることに変わりないのだ!ネット上では戦前に首相を務め、戦後の米国占領下で自殺した近衛文麿に擬せられているようだが。その後を受けて首相になったのが東条英機であるから,ゾッとしないのは確かだ。

しかし、続いて「民間のあらゆる創造的な活動を鼓舞し、国籍を超えたあらゆるイノベーションを日本中で起こすこと」が成長戦略の要諦であると述べる。「あらゆる」がこの短い文の中に二度使われていることが、美辞麗句の決まり文句に酔っていることを象徴的に示している。

ところが、格調の高さもここまでで、続いて表れる「国際先端テスト」に何?という感じにさせられ、続く、医薬品のネット販売解禁、健康食品の機能性表示解禁に、これが成長戦略の具体的か姿か、と驚きを禁じ得なかった。しかし、大まじめで「世界最先端」を目指すと叫んでいる。えっ!何の?と思わず聞きたくなる。

更に、またしても「特区」を構築すると言う。「構造特区の考え方を面的に進化させる」という、意味不明、ひとりよがりの言葉が飛び出す。そこでは、「世界中から技術、人材、資金を集める都市をつくりたい」のだそうだ。

しかし、その施策として、外国人が安心して受診できる病院、外国人子弟が通う国際学校の充実が出てくるだけだ。そして、「私の国家戦略特区に「聖域」はありません」と述べる。これも?規制のない「聖域」にするのかと思ったが、規制で守られた「聖域」の意味、逆に言えば、「安倍特区」以外は規制の守られた聖域なのだ。TPP参加を決定した際も、しきりに「聖域なき関税撤廃はない」と強調していた。

ここまでで、安倍スピーチの半分弱になる。後半に期待を持てるはずもない。