石仏散歩

現代人の多くに無視される石仏たち。その石仏を愛でる少数派の、これは独り言です。

135 徳本行者と名号塔⑦ー平塚市の場合その1

2018-05-20 05:42:30 | 六字名号塔

平塚市には、市の規模に不釣り合いな、立派な博物館があります。

展示も見ごたえがありますが、特筆すべきは市民ボランテイァによる調査活動とその報告書。

中でも、平成26年発刊の『平塚の石仏』は、出色です。

ボランティアにより確認された石仏の数は、3058基。

そのすべてをベースに、地域、年代、種類別に分類し、解説をつけた労作です。

勿論、徳本名号塔にもページが割かれています。

徳本名号塔は市内に28基あり、このうち浄土宗の寺に13基あります。県内の市町村のなかでは最も基数が多く、本市に特徴的な石仏といえます」。

徳本流布教の特徴は、講の人数の多寡によって、与える名号札の大きさを変えることにありました。

大きな名号塔の石塔があるということは、その地に多数の信者を要する徳本講があったことの証です。

平塚市には、とりわけ大きな念仏講が、3つもあり、「大会念仏(おおがいねんぶつ)」と称されて、昭和の時代まで活動していました。

平塚市は、相模地方で、最も徳本講が流行した地域だったのです。

ここでは、市内の9基の徳本名号塔を取り上げ、平塚市での徳本念仏講の活動を見てゆきます。

①大松寺(幸町)

徳本名号塔が3基並んでいる。

3基もあるのは、ここだけ。

特に中央の石塔は、文化13年(1815)の造立で、市内最古。

徳本行者は、文化12,13,14年と立て続けに相模を巡錫、化益して回り、大松寺は宿泊所だった。

行者が来る前に、名号を彫った石塔を用意して、徳本行者に開眼してもらう習わしだったから、この塔も行者は見たことがあるはずです。

この石塔には、もう一つ特徴がある。

それは、四面、それぞれに南無阿弥陀仏が彫られていること。

徳本名号も小さな部分では、違いがあることが見て取れる。

≪続く≫

 

 


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